心の声を聴きたくて (ページ11)

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＊神山ページ11

神山side

次の日。

Aが昨日買ったお母さんの誕プレ。

昨日、Aのお母さんが慌ててタクシーに乗ったときに

Aが落としてしまったエプロンの入った誕プレを、

俺は拾って綺麗にはたいてから自分の家に持ち帰った。

なにが起こったんやろ。

昨日はお母さんの誕生日。

誕プレなくて、A焦らんかったかな。

タクシーから、Aがこっちを見るのが見えたあの時を思い出す。

ちゃんと、家に帰れたんかな。

色々なことを思いながら今日も予定通り、シゲの家のピンポンを押す。

重岡母「ごめんなぁ、今起きたんよ。」

神山「ふふ、わかりました。

じゃあ、Aを迎えに行ってから戻りますね。」

重岡母「いつもごめんなぁ？」

これは日常やから。

別になんとも思わん領域に達した。

彼女にモーニングコールお願いしたいって言ってたけど、アイツは彼女おらん。

目覚ましのタイマーはかけへんタイプって言ってた。

だったら、彼女へのモーニングコールも、出ないやろ。

そんなことを思いながら

来た道を戻り、俺の家を通り過ぎて、Aの家のチャイムを鳴らす。

こっちもこっちで、Aのお母さんが出て今朝食食べてるとこだからなんて、そう言われるやろな

そんな日常を送っているから、

誕プレを後ろに隠してドアが開くのを待つ。

「ごめんっ、ちょっと待ってっ。」

でも、想定とは違って、ドアを開けたのはAやった。

そしてすぐドアを閉めようとした。

神山「あ、A。」

「ん？」

神山「これ。」

俺は、後ろに隠していた誕プレを見せた。

Aは、あぁ、ありがとうと言って受け取りながら、

「すぐ行くから待っててねっ」

いつもと変わらない笑顔でドアを閉めた。

俺は門の外で待つ。

これは、非日常。

Aの玄関におるハムスター

元気かな。

Aの玄関の横に咲いてる一輪のひまわりを見て思い出す。

昨日は元気に走ってた。

　

Aは宣言通り、すぐに来た。

「おはよっ。」

神山「どうしたん？」

「ん？」

神山「なんか、クマひどくない？」

そう聞くと、Aは涙袋あたりを触る。

「え、そう？」

勉強したからかなー、なんて。

勉強してたん？偉いな。