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*小瀧 ページ43

小瀧side





そこまで時間が掛からず、頂上に着いた。






そこまで険しい山登りってわけでもなく




頂上にはご丁寧にベンチが設けられていた。





2人で腰掛けると、Aさんはリュックからおにぎりを差し出した。









「はい。半分こじゃないけど。




さっき炊いたご飯で作った。」





小瀧「ありがと。




半分こじゃないってのは?」






「前に屋上でメロンパンをくれたから。




そのお返し。」





小瀧「なるほどな。」









おにぎりを食べながら景色を眺める。




真っ暗すぎて何も見えない。





というか、頂上に電灯があるから




日の出綺麗に見れるんかな。









道も整備されてたし




きっと、初心者くらいの登山なんやろな。









Aさんがふとこっちを向いた。







「…私の中学時代の噂は、誰から聞いたの?」









これは、名前を言っても良いヤツ?









俺が黙っていると







「じゃあ、どういう風に言われたの?その人に。」








Aさんは、俺の方を向くことなく





おにぎりを頬張る。






小瀧「…神ちゃんとの間に赤ちゃんできて、中絶した。」








「…そっか。」









Aさんが少し俯いた。









小瀧「ごめん。」









俺は、ベンチの上で正座して





Aさんに正面から謝った。








こんなことしても



俺のしたことが簡単に許してもらえることやないのはわかっている。






俺の心の問題やから。

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作者名:きい | 作成日時:2021年4月28日 16時

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