[2]人間不信の安全地帯 (ページ15)

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Aside

保健室の長いソファに座っている。

最悪だ。

どうして私は

家に帰ろうとしたはずなのに

重岡『俺は神ちゃんとは違う。』

重岡『待ってるからな！

俺は一生Aのこと信じてるからな！』

重岡『来てくれてありがとう。やっぱり俺はAを信じてよかった！』

嫌いはずだった重岡のえくぼが脳裏をちらついて離れない。

どうして、引き返したの。

どうして、保健室にいるの。

どうせ、授業を受けないのなら

この締め付けられた胸が解放されることがないなら

家のベッドで1人、寝転んでいた方が落ち着くはずなのに。

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ

保健室のドアから現れたのは、小瀧くんだった。

小瀧「…。」

なにも言わず、私の横にちょこんと座る小瀧くん。

重岡だけじゃない。小瀧くんにもあの写真はバレているんだ。

どうせ私がビッチだと思ってるんでしょ。

「軽蔑した？」

小瀧「まあな。」

小瀧くんだって、人間。

周りの生徒Aと変わらない感情を持つのもしょうがない。

小瀧「俺、ハツと別れた。」

そう言う小瀧くんは、少し涼しい顔をしていた。

「そっか。」

別に

誰が付き合ってて

誰が別れようが

私の人生を大きく動かす出来事ではない。

小瀧「驚かないんやな。」

「当たり前でしょ。小瀧くん好きじゃないって言ってたし。」

小瀧「ハハ。」

小瀧くんはあまり口角をあげずに笑う。

2人の静寂が保健室の空気を保つ。