14 ，ずっと一緒に。 ページ14
上がる息を必死で落ち着かせながら、ガチャリと鍵を回して家の中へ入る。
結局あのあと、私は全てを投げ出して逃げ帰ってしまった。
なんだか二宮が後ろから言っていたような気がするけど、何も聞きたくなくてただひたすら走った。
リビングにいるであろう親に気が付かれないように二階の自分の部屋へと入る。
今は誰とも話せる気分じゃない。
まぶたを閉じれば嫌でも思い浮かぶ、潤とあの女の子の笑顔。
(……あんなの、見たくなかった)
決して大げさなわけではなく、たしかに私はあの瞬間頭をガツンと殴られた気分だった。
隣で涼しい顔をしていた二宮に対する苛立ちが消えない。
だけどわかっているのだ、本当は。
二宮は悪くない。
遅かれ早かれ、潤と仲良くなってる女の子がいるというのはわかることだった。
それがたまたま今日だったってだけ。
．
それでも、潤がするりと女の子の頭を撫でたあの光景が私の心に深い傷をつけたのは確かだった。
＊＊＊
『潤、ずっと一緒にいてくれる？』
それは、幼い頃の私だった。
小学三年生。
転んで擦りむいて歩けなくなった私をおんぶしてくれた潤に私はそう言ったのだ。
その時の私は、潤が私の隣からいなくなる可能性なんてこれっぽっちも考えてなくて。
ただ純粋に、
潤にそう問いかけた。
『……そうだね。一緒にいるよ』
少しだけ間を開けて、潤がそう小さく呟いたのを今でも覚えている。
今思えば潤は、
この先ずっと一緒にいられないかもしれないことをきちんと理解していたのだろう。
小さい頃から、賢い人だったから。
私は同い年なのにそんな大人びたところが、ずっと大好きだった。
．
すぅ、と泣き腫らして重たいまぶたを持ち上げる。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったらしい。
スマホを見れば、潤からメールが入っていた。
『今日は一緒に帰れなくてごめん』
その悲しくも温かいメールを、
癖になってしまったように鍵をかけて。
『図書館寄って帰ったから全然大丈夫だよ』
潤に嘘をついた。
15 ，俺は確かに知っている。N side→←13 ，笑う特権。
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きゅー野郎(プロフ) - すーさん» コメントありがとうございます！潤は潤なりに大切にはしてるのですが……という感じで、性格が悪いとかそんな感じじゃないけど傷付ける人を気を付けて書いてます。ハマると言って頂けてありがたいです！ (2018年3月29日 21時) (
レス) id: e8cf02044d (このIDを非表示/違反報告)
すー - 切ない・・・。でもハマるなあ・・・。潤って結構ひどい男かも。 (2018年3月29日 14時) (レス) id: 4e9063ac6a (このIDを非表示/違反報告)
きゅー野郎(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！今のところヒーローはただの性格悪いやつみたいな感じになってますが、温かく見守っていただけると幸いです(*'▽'*) (2018年3月22日 15時) (レス) id: e8cf02044d (このIDを非表示/違反報告)
かな - すごく面白いです！ヒロインの幼馴染がほんとに好きなんだなって伝わります‥！頑張ってください！ (2018年3月22日 15時) (レス) id: 3b936ba080 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゅー野郎 | 作成日時：2018年3月22日 15時
