烏野2年の孤爪さん その3

兄猫は妹猫を溺愛する ページ50

研磨side






俺の腕の中で、すやすやと眠るA




強めの薬を飲んだせいか副作用でこの有様だ









Aが寝る前に、キスを落とした髪の毛の部分を撫でる


頭をよく撫でてくれる先輩の分を、上書きするように









Aは元々、俺やクロに対してだけは甘え上手な子だ



今日みたいに、生理でメンタルが弱ってる日もよくあった









久しぶりに甘えられて、すごく嬉しかった...でも、それと同時に少しだけ苛立ちを覚えた









髪型が違う、前と比べると心なしか表情も柔らかい、「皆に八つ当たりしちゃいそうで怖い」なんて、他人の事を気遣う心もある









俺の知ってるAとは、少しだけ違う









俺だけに向けられていた表情が、他に向けられているなんてイライラするし、Aの目に俺以外の人間が映ってるなんて、考えたくもない




だからといって、Aの行動を縛る権利はない









だって、俺はただのお兄ちゃんだから









恋人でも、なんでもない...血の繋がったお兄ちゃんだから









研「...お兄ちゃんじゃなかったら、全部、独り占め...できるのに」









Aを抱きしめる力を強める









研「A」








小さい声で妹の名前をつぶやき、彼女の顔に垂れ下がっている前髪をどける









外出しない為、焼けていない白い肌



長いまつ毛に小さい唇



同年代と比べても、細っこい体



艶のある長くて綺麗な黒髪









俺と双子で、顔もよく似ていると言われる









でも、Aは俺なんかと違って、すっごく可愛い



改めてそう思った









そんな可愛いAはバレー部に入ってから、俺にだけ向けていたものを俺以外にも向けている




それはかなり妬ける









でも、俺だけしか知らない事は、まだいっぱいある









俺には甘えん坊で、スキンシップも積極的、俺の匂いを嬉しそうに嗅いだりなど



...俺だけが知ってること









いや、まあクロも知ってるだろうけど、クロは例外(((









俺だけが知ってることがある





だから、Aがどんな人と話しても、誰かに笑みを向けても、友達を作っても、まだ我慢してられる









もし、Aが俺に向けるもの全部、他の男に向けるようになったら...俺、そいつ殺しちゃいそう...





だから...









研「ずぅっと一緒だよ...A」

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