増えてる ページ9
それから、私はマイキーくんのことを万次郎と呼ぶことになった。
貸してもらっていた特攻服を返そうと脱ごうとしたら、シャツのボタンが全部閉めきれてなくて焦る。
そう言えば、手が震えて中々閉められなかったんだっけ!?と、思い出し慌て万次郎に背を向けて閉めた。
首元に痕を付けたまま家に帰るのはマズイ。という事でマイキーくんもとい万次郎がエマちゃんを呼んで、痕を隠すためにファンデーションを貸してくれた。
「Aに怪我がなくて良かった〜」
万次郎の部屋まで来て私を見つけるなり、エマちゃんが抱き付いてくる。
「エマちゃんありがとう。心配かけてごめんね」
「それにしても、ヒドイね。見えるトコに二つも付けるなんて………」
「え?」
「ん?」
あれ?
何でエマちゃんが二つあること知ってるの?
何かおかしいと感じて、さっき万次郎が貸してくれた鏡を手に取って確認する。
そこには先程確認した痕の上にもう一つ、同じような赤い痕が付いていた。
「え゛っ!?ふ、増えてる!!」
思わず叫ぶとエマちゃんも「えっ!?」と声をあげる。
そう言えば、何ヵ所か首の所にキスされて何回か痛かったんだけど、それって………
私はバッと万次郎の方に振り向いた。
「まっ、万次郎!?」
「いーじゃん。オレとAは付き合ってんだし。Aにオレのって印、付けといた」
にこにこと笑う彼は全く悪いと思っていないようだ。
「だからって、増やすことないでしょ!?」
「なんで?本当はコッチのも上書きしたいの我慢してんだけど?」
そう言って、彼が指差すのは私の胸。
「なっ…!!」
バッとガードするように腕をクロスさせると、隣のエマちゃんが少し戸惑った声をあげる。
「えーっと?………二人ってもうそういう関係になったの?」
「えっ!?…あ、や……、その………っ!」
しどろもどろになっていると、遠慮がちな声が聞こえてくる。
「…なんか、ウチ邪魔みたいだから行くね?終わったら呼んで?」
そう言った彼女は既にドアの前にいてノブに手を掛けている。
「エマちゃん!?待って!?全く邪魔じゃないから!行かないで!?」
そんな声も虚しく、扉を通り抜けたエマちゃん。
室内にパタンとドアが閉まる音が響いた。
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香恋 - 月見さんの作品は義勇さんの作品から描写が上手いなぁとか、キャラが本物で自然と聞こえてくるので安心して読めます!流石です(^^)丁寧な描写とゆっくり流れていくストーリーも好きです!マイキー大好きなのでいつかまた書いて下さい♡首を長くして待ってます! (2022年7月4日 9時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 香恋さん» 初めまして。一気読みありがとうございます!!鬼滅の作品も知って下さっていて、とても嬉しいです(≧▽≦)またマイキーをメインにして書きたいとは思っています。楽しんで読んで貰えるように頑張りますので、その時はぜひ読んでやって下さいm(_ _)m (2022年7月3日 22時) (レス) @page8 id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 初めまして!最近東リベにハマり、マイキーにハマってそういえば鬼滅を書いてた作者の方の作品あったなと思い出し時間も忘れて一気読みしました!とても幸せな気持ちになりました。またこんな作品待ってます♡キャラが本物で声が聞こえてくる様でした!凄いです! (2022年7月2日 9時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 沙耶さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!基本的に作者がハッピーエンド好きなのでハッピーにました!!楽しんで頂けて嬉しいです(*^_^*)いつになるか分かりませんが、お話しのネタはあるのでマイキーでお話しを作ったときはよければ読んでやって下さいm(_ _)m (2022年6月21日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
沙耶(プロフ) - 東京リベンジャーズでマイキー絡み物は、結構闇深かったり、殺されるバッドエンドが多いのですが、ハッピーエンド作品で完結しているものは中々少ないので、このお話はとても読んでいて楽しかったです(´˘`*)またそんな作品待ってます♡ (2022年6月16日 0時) (レス) id: 5943b8e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年10月3日 12時