〜回想〜 ページ17
「送ってくれてありがとう」
バイクから降りて、脱いだヘルメットを万次郎に手渡した後、私はお礼を伝えた。
「ん」と短く頷いた彼が私の頬に手を伸ばす。
「え、…何に?」
「オレ、物足りないんだよね」
「へ………?」
戸惑う私にニッコリ笑う万次郎。
「もっとAとキスしたい」
そう言って私にグッと顔を近づけると、コツンとおでこを合わせてくる。
「ダメ?」なんて聞かれて、恥ずかしい気持ちとが相まってぶわっと顔に熱が籠る。
前の私なら「ダメ」と答えていた。
けれど、万次郎が好きだと自覚している私はもう「ダメ」なんて言えなかった。
「………少しだけなら、…いいよ?」
小さな声で告げると、頬に添えられていた手が私の顎をクイッと持ち上げて、唇を下から掬い上げるように口付けられる。
「っ、ん…!」
何度か角度を変えながら、食らい付くようにちゅっと音を立て唇に吸い付く万次郎。
直ぐに離してもらえると思っていたのに、中々終わらなくて、どこで息をすれば良いのか分からない。
苦しくなって彼の胸を押す。
けれど、離れる気配なんてなくて。
「ちょ、…っ!!ん、ぁ…!!」
抗議しようと口を開くと、ぬるりと唇を割って何かが口内に入ってきた。
今までの触れるだけのキスとは違う感覚に、急に怖くなる。
「…や、ぁっ……」
思わず、ぎゅっと彼のシャツの胸の辺りを掴む。
私の異変に気が付いたのか、やっと離してくれた万次郎。
「はぁ…はぁっ…」と息を切らす私を見て「やっば…」なんて呟いている。
「……少しだけって、言った………」
精一杯睨み付ける。
けれど、万次郎には全く効果が無かったようで。
彼は上機嫌にニコッと笑う。
「悪ィな。…ご馳走さまっ」
─────
───
─
あの時の感触が甦ってきて、頬が熱を持ち始める。
人が居なかったとは言え、家の前でキスしてしまったのだ。
しかも、物足りないと言っていただけあって、割と長かった…
って、私何考えてんの!
余計な考えを振り払うように、首を左右に振る。
「その反応はキスの続き、したんだ?」
ニヤリと笑うユメカに思わずムキになる。
「なっ!私、何も言ってない!」
「で?どこまでやったの?」
「え?」
…どこまでって?
「なぁんだ。まだキスだけか。ま…付き合ったばっかだし、そんなもんか〜」
何故か一人納得するユメカ。
私はよく分からなくて、九条さんを見ると彼女もキョトンとしていた。
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香恋 - 月見さんの作品は義勇さんの作品から描写が上手いなぁとか、キャラが本物で自然と聞こえてくるので安心して読めます!流石です(^^)丁寧な描写とゆっくり流れていくストーリーも好きです!マイキー大好きなのでいつかまた書いて下さい♡首を長くして待ってます! (2022年7月4日 9時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 香恋さん» 初めまして。一気読みありがとうございます!!鬼滅の作品も知って下さっていて、とても嬉しいです(≧▽≦)またマイキーをメインにして書きたいとは思っています。楽しんで読んで貰えるように頑張りますので、その時はぜひ読んでやって下さいm(_ _)m (2022年7月3日 22時) (レス) @page8 id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 初めまして!最近東リベにハマり、マイキーにハマってそういえば鬼滅を書いてた作者の方の作品あったなと思い出し時間も忘れて一気読みしました!とても幸せな気持ちになりました。またこんな作品待ってます♡キャラが本物で声が聞こえてくる様でした!凄いです! (2022年7月2日 9時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 沙耶さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!基本的に作者がハッピーエンド好きなのでハッピーにました!!楽しんで頂けて嬉しいです(*^_^*)いつになるか分かりませんが、お話しのネタはあるのでマイキーでお話しを作ったときはよければ読んでやって下さいm(_ _)m (2022年6月21日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
沙耶(プロフ) - 東京リベンジャーズでマイキー絡み物は、結構闇深かったり、殺されるバッドエンドが多いのですが、ハッピーエンド作品で完結しているものは中々少ないので、このお話はとても読んでいて楽しかったです(´˘`*)またそんな作品待ってます♡ (2022年6月16日 0時) (レス) id: 5943b8e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年10月3日 12時