守ってやる ページ31
「よぉ、遅かったな」
リビングに戻るとソファーで寛いでいた場地くんが私たちを見た。
千冬くんは弟のゲームの相手をしてくれていて、二人は画面に夢中だ。
「マイキー、ほどほどにしとけよ?」なんて言葉と共に場地くんが私たちをニヤニヤ見てくる。
「…………お願いだから、さっきのは忘れて………」
気まずさから、誰の顔も見られなくて俯いていると、ゲームをしていたはずの弟が私たちの前まで歩いてくる。
どうやら一勝負終わったらしい。
「この人、ねーちゃんの彼氏?」
「え?」
弟の言葉に一瞬、時が止まったように感じた。
「千冬が言ってた。二人は付き合ってるって」
「は?」
そう言われて、バッと千冬くんの方を見る。
「………、なんだよ。言っちゃダメだったのか?」
何処か気まずそうな視線に「そうじゃなくて!」と声を張り上げる。
「そもそも付き合ってな──んぐ!」
“付き合ってないから!”
そう最後まで言いきる前に、後ろにいたマイキーくんの手によって口を塞がれた。
「そうそう。オレはオマエのねーちゃんの彼氏」
「!?」
勝手に何言い出すの!?
話せない私は彼の手を離させようと腕を掴みながら、ひたすらそんな思いを込めて視線をマイキーくんに送る。
「ねーちゃんの、彼氏…!」
「うん」
「すっげー!!」
キラキラとマイキーくんに視線を送る弟。
「オマエのねーちゃんはオレが守ってやるからな」
そう言って、マイキーくんがポフッと弟の頭に手をのせる。
「にーちゃんかっけー!」とはしゃぐ弟。
「………。」
勝手なことばかり言い出す彼に、文句の一つでも言ってやろうと思っていた。
けれど、斜め後ろから見たその目があまりにも穏やかで、心から言われているような気がして、何も言えなくなる。
掴んでいた彼の腕から力を抜く。
ちらりと私を見たマイキーくんが私の口元から手を離した。
「Aが大人しくなった」
「…う、うるさい」
「オレのこと好きになった?」
「知らない…!」
顔を覗き込んできた彼からプイッと顔を背ける。
「オマエら、あんまりイチャつくんじゃねぇよ」
「イチャついてないから!」
場地くんの言葉に私は即座にそう返した。
それから一時間ほど、彼らは我が家で寛いでいた。
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月見(プロフ) - まろまゆさん» コメントありがとうございます!面白いと思ってもらえていて、とても嬉しいです。ぜひ、キュンキュンして騒いじゃってください!!更新頑張りますので、宜しければ完結までお付き合い下さい! (2021年9月29日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆ(プロフ) - 初コメ失礼します!!いつも、更新楽しみにしてますー!めっちゃ面白い上に、マイキーが所々キュンキュンすることしてきて、見てるこっちも騒ぎソウデス…w これからも頑張ってください!! (2021年9月29日 11時) (レス) @page38 id: 65d35f23ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月11日 16時