きっとオマエなら ページ49
「おはよーA」
1日振りに学校に来てAに声をかける。
「お、はよう……」
一昨日のことで、どこか気まずそうな姿に自然と口角が上がった。
フイッと顔を逸らした彼女を覗き込むように顔を近付ける。
「何？A、照れてんの？あ、オレに会えなくて寂しかった？」
「そんなんじゃない………」
本人は気は付いてるのか、いないのか、スッと赤みがさした頬。
「オレのこと意識した？」
「だから………っ！」
急に振り向いたと思えば、驚いた顔で恥ずかしそうに更に顔を赤くする。
「へっ！？ちょ、近い近い！！」
ぐいっと肩を押されて、距離を取ろうとする姿に我慢できなくなる。
「ははは！やっぱり、照れてんじゃん」
「う…」
少しからかえば、何も言えなくなるAは見ていて飽きない。
「び、びっくりしただけ、………だから」
「ふーん？そうは見えねぇけど？………ま、いっか」
オレを意識し始めている姿にあともう一押しと考える。
あの日、授業中にオレを起こしてきたAはビクビクしていた。
だからその日の放課後、ケンチンと歩いているときに聞こえた怒鳴り声の先にAを見つけたとき、隣の席の奴だとすぐに分かった。
「さっさと出さねぇと、次はマジで殴るぞ」
少し遠目だったが、どこかの不良に絡まれているその姿は、彼女には不利な状況だった。
「………む、むりです。…三万円なんて、持っていません……っ！」
「じゃあ、体で払うか？」
彼女の頭から足の先までをなめ回すような視線とヒヒヒッと漏れる下品な笑い声。
あの時は、ただ胸くそ悪ィとしか思わなかったが、今となっては腹立たしい。
「ケンチン」
声をかけるとケンチンは「分かってる」と頷いて一足先に向かっていく。
「っ！……そ、そもそも、私は立ち止まっていただけで、ぶつかってきたのはあなた達ですよね…？」
「あ？…んだと？」
「お金は、払いません！！」
相手を真っ直ぐ見つめて言い返す姿に目を奪われる。
弱ぇ癖に立ち向かっていく姿は兄貴と重なって見えた。
あの時から、オレはAを気に入っている。
話していくうちに段々と打ち解けて、コロコロ変わる表情を見てたら、いつの間にかAを手に入れたいと思ったんだ。
だって、オマエならオレがオレでなくなりそうな時、きっと叱ってくれるだろ？
だから早く気付けよな、A。
三ツ谷たちの話をするAに少しの苛立ちを覚えながら、そんなことを思った。
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ys 0418052(プロフ) - 月見さん» いや初めてと思えないぐらいすごいですよ！！ (2022年12月29日 22時) (
レス) id: d04e6957d1 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - ys 0418052さん» 読んでいただきありがとうございます！初めて書いた東リベ作品で、そう言ってもらえてとても嬉しいです(*^^*) (2022年12月29日 22時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
ys 0418052(プロフ) - マイキーおしがとても好きになりそうだしわたしもとても好きです！！ (2022年12月29日 19時) (レス) id: d04e6957d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年8月20日 10時
