【名探偵コナン】消えた捜査官5【降谷零】

エピローグ6/6 ページ47

綾瀬Aはその後
その頭脳と”元詐欺師”という警察官としてはあるまじき立場から見る犯罪者側の心理、を買われ、捜査二課への配属も検討された。
だがしかし、例の件により詐欺師たちにも大きく顔が知れ渡った為に、彼等からの報復等の恐れも踏まえ、Aの身は警視庁捜査一課に預けられるものとなった。
制度施行後、全国では初となる刑事罰の軽減ではなく免除、しかも大々的なニュースにもなった人間の司法取引も絡むその責任ある上司として、自ら名乗り出たのは一人の刑事だった。

「……えっと…」

「おお！Aくん。よく来てくれた。
わしは目暮だ。」

「あ、綾瀬Aです。」

「ほら、お前達も自己紹介したまえ。」

「佐藤美和子よ。
会えるのを楽しみにしてたわ！
数少ない女同士、仲良くしたい所だけど…実務経験では私の方が先輩よ？
負けないからね！」

「は、はい‼」

「…なーんて、冗談よ‼冗談‼
仲良くして貰えると嬉しいです。
これからよろしくね。」

「…はいっ！」

「た、高木渉です…っ‼
一緒に働く事が出来て光栄です！」

「…は、はい‼」

矢継ぎ早にされる自己紹介に、久しく頭を働かせる事のなかったAは目をパチクリさせた。
けれど、清々しい気分だった。
Aは一歩前に出て、背筋を更に正した。

「綾瀬Aです。
私を受け入れて下さり…本当に感謝しています。
この国の未来の為に…誇りを忘れず、正義と歩き続けると誓います。
至らぬ部分もあるかと思いますが、よろしくお願い致します！」

警察官としての実務経験の少ないAに、敬礼という考えはなかった。
警察官らしく敬礼ではなく、ピシッと頭を下げたAに対して、周囲の者は未だにAは負い目を感じているのであろうと、その場に居る者の多くが眉を下げた。

「君は私を知らないだろう…あの時も、部署だって違った。
けれど、あの日からこの警視庁(ばしょ)は君をずっと待っていたよ。
改めて歓迎しよう、綾瀬A特別捜査官。」


どれだけ過去が暗く辛いものだとしても
生きていれば、生きてさえいれば


[米花3丁目で殺人事件発生！繰り返す。米花3丁目で殺人事件発生！急行されたし。]

「よーし、現場に急行するぞ！」

「行くわよ、A‼」

「はい！」



人は嘘をつく

けれど

疑うより信じていたい

それぞれの信じた道の先に

それぞれの正義があると。

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