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「ただの気まぐれだ。」

長い沈黙の後、桂木はフッと短く笑いそう告げると、椅子を回転させ降谷に背を向けた。

何の合図もなく、先ほど降谷を案内したスーツの男が何かを手に降谷へ歩み寄ってくる。
男は無言で手に持つそれを差し出した。
訳が分からずにいると、男は早くしろと言わんばかりの鋭い視線を降谷に向ける。
訳が分からぬまま、降谷は仕方なしにそれを受け取った。

背中越しに桂木は告げた。

「老い先短い俺には、そんな大金手に余る。
返す。」

「…え?」

「それに」

男は椅子ごとクルリと降谷へ振り返る。
降谷の手の中にあったのは、一冊の通帳だった。

「礼ならとっくの昔に貰ってる。」

桂木は鍵を掲げ、にんまりと笑った。

(…そんな、まさか。
この男を信じても良いのだろうか。)

「…貴方は、殺しても到底死ななさそうだ。」

降谷も負けじと笑った。
降谷はそのまま出口へ向かい、扉に手をかける。
動きを止めた降谷は、小さな声で言った。

「二度は言わない。」

「あ?」

「感謝する。
今までAを守ってくれて…
ありがとうございました。」

桂木が何も言わないのを確認すると、今度こそ降谷は扉を引いた。


笑う事が出来たのは、いつぶりだろうか。








降谷不在の警察庁には、一人の男が降谷を訪ねてきていた。

「降谷零くんは居ないのか?」

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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虎鉄(プロフ) - まみこさん» まみこ様、私こそ深夜にすみません!こちらにまで涙。一気読み+コメントする時間まで割いて下さり本当に有難うございます!松田氏なりに降谷氏とは違う道を進むのでお付き合い下されば嬉しいです。大切に書いた話なのでそう言って頂けて感無量です。 (2022年7月24日 0時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 応援してます!!本当にこの作品は神です!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - こんばんは!!真夜中にすみません💦一気読みしました!マジで感動しました!!あー、夢主ちゃん良かったね!!と、保護者のような気持ちで読んでましたねw松田さんのほうも読んでます、頑張ってくださいね!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(消えた捜査官松田ver作成中)(プロフ) - ひゆめさん» ひゆめ様、一気読みのお時間頂戴しまして……!かつコメントまで下さり本当に有難う御座います。クロサギ懐かしいですよね(^^)当時は全く意味分からんまま見てましたが笑。読んで下さってありがとうございました(^^)!2と合わせての返信で失礼します。 (2022年6月12日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 同じく一気読みしました!!クロサギ懐かしいと思いながら進めていたら凄く惹き込まれました。とても面白かったです。 (2022年6月12日 0時) (レス) @page50 id: 141a54d8d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月2日 0時

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