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『コーヒーならこの先の2earth forestって所のがオススメだぞ。』
降谷は、2earth forestと書かれた立て看板を見下ろした。
小洒落たバーに見えるその店は、どうやら昼間は喫茶店としてひっそり営業しているらしい。
扉を開けると、ドアに付けられた鈴がカランカランと、降谷の到来を知らせた。
降谷は足を止め、誰も居ない店内を見渡す。
すると奥から現れたスーツの男が、降谷を上から下へ舐める様に見やった後、無言で降谷を奥に案内した。
大きな鏡の横に、一枚の扉があった。
よく観察しなければ見落としてしまいそうなその扉は、施錠など無く、驚くほど簡単に開いた。
中には、待ち構えていたかの様に男が鎮座していた。
その男は、手にしていた酒のボトルをカウンターのテーブルに置くと、ボトルに掛けられていた鍵を弄り始める。
「喫茶店の兄ちゃんが、わざわざコーヒーでも買いにきたのか?」
降谷は無駄話をするつもりはなかった。
「貴方は、綾瀬Aを病院から連れ出し、匿った。
鮫島の追っ手が及ぶ前に。」
「アメリカン?」
「その直後に発見された女性の遺体はどうやって用意した」
「ブレンド?」
「答えろ」
男は笑みを潜めた。
「…世の中死にたい奴はごまんと居る。
自分は誰の役にも立てないと死にたがる女に、とっておきの舞台を用意してやっただけの事だ。」
「……。
彼女の容態が回復した後も、周囲には彼女を利用しているかの様に思わせ、実は鮫島の魔の手からずっと彼女を守り続けた。」
「……」
「貴方にはなんのメリットも無かったはずだ。」
「……」
「なぜだ?なぜそこまでした」
男の持つ鍵がチャリ、と音を立てた。
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虎鉄(プロフ) - まみこさん» まみこ様、私こそ深夜にすみません!こちらにまで涙。一気読み+コメントする時間まで割いて下さり本当に有難うございます!松田氏なりに降谷氏とは違う道を進むのでお付き合い下されば嬉しいです。大切に書いた話なのでそう言って頂けて感無量です。 (2022年7月24日 0時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 応援してます!!本当にこの作品は神です!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - こんばんは!!真夜中にすみません💦一気読みしました!マジで感動しました!!あー、夢主ちゃん良かったね!!と、保護者のような気持ちで読んでましたねw松田さんのほうも読んでます、頑張ってくださいね!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(消えた捜査官松田ver作成中)(プロフ) - ひゆめさん» ひゆめ様、一気読みのお時間頂戴しまして……!かつコメントまで下さり本当に有難う御座います。クロサギ懐かしいですよね(^^)当時は全く意味分からんまま見てましたが笑。読んで下さってありがとうございました(^^)!2と合わせての返信で失礼します。 (2022年6月12日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 同じく一気読みしました!!クロサギ懐かしいと思いながら進めていたら凄く惹き込まれました。とても面白かったです。 (2022年6月12日 0時) (レス) @page50 id: 141a54d8d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月2日 0時