【名探偵コナン】消えた捜査官5【降谷零】

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降谷零名義の部屋に、USBが入った茶封筒が届けられたのは翌日の事だった。

降谷の推測通り、中身は確かに不十分な部分もあるにはあったがAが集めた証拠や、被害生徒の勇気ある証言、そして皮肉にもAの取った行動が決定打となり、安藤や梶原は身柄を警視庁へと送られた。

鮫島の息の掛かった関係者は、違法に限りなく近い捜査で割り出され、降谷の部下達により、一網打尽となった。



テレビのワイドニュースは、連日事件の事を報道し続けた。
全国に生放送で流れたあの衝撃的な事実が一組織の一個人の権限で揉み消せる筈もなく、それは瞬く間にネットに拡散され、世界中に行き渡ることとなった。


自身の自供と凶行が生放送で流れたとはつゆ知らず、のこのこと自宅に戻った鮫島は、駆けつけた多くの捜査官により即刻身柄を拘束された。
鮫島は、中身が空のUSBを握り締め「騙された」と口にして以降、黙秘を貫いているものの、そちらはいずれ司法が鉄槌を下してくれる事だろう。

Aからしてみれば
真っ直ぐな正義だけでは、到底太刀打ちできない悪があると教えてくれたのは鮫島や安藤達だっただろう。
嘘は武器になる。
時には嘘も必要だと、Aはこの数年で詐欺師達から教わったのだろう。
だからこそAは、本物のUSBは降谷に託し、敢えて偽物を片手に鮫島と対峙したに違いない。

正義を貫く為にどこまでも真っ直ぐなAが、最後の最後でそんな狡猾さを見せるとは思いもしなかった事だろう。
そして物の見事に、鮫島は騙されたのだ。


全てを知るAが居ない今、全ては推測にしか過ぎない。





たくさんの警察官が
消えた捜査官を探し続けた。

汚れた正義に消された同志を。

たくさんの人間が彼女の生存を祈った。

一気に焼け落ちあまりに凄惨な焼け跡から、綾瀬Aの遺体が発見される事は無かった。
だが、何１つ手掛かりを得る事も出来ず、左胸の心臓を撃ち抜かれたあの映像を見る限り、生存の可能性は0に等しいとの判断が下され、やむなく捜索は極一部を除いて打ち切りとなった。


喜ばしい出来事もあった。
改めてAの父親は、当時の部下を中心とした全国の警察官の尽力により、死後、その死が殉職という扱いに見直され２階級特進。
異例中の異例とも言えるその決定に、晴れてAの父親の名誉も回復されたと言っていいだろう。



「お前に一番に報告したかった。」


降谷は、煤けた写真を撫でた。

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