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「燃えた。」
「え?」
「だから燃えたの。」
「…何が?」
「家。」
「え⁉」
まさかこの焦げ臭さを硝煙反応だと思っていた訳ではあるまい。
意外にも驚いたコナンを置いて、再びAは歩き出す。
テンポの良いやり取りに、大人の余裕か残ったアドレナリンのせいか、Aはなぜか陽気だった。
中身は高2の男の子のはずなのに、コロコロと変わるその表情はまるで本物の小学一年生の様で、それはAの笑いを誘った。
コナンが後ろから追いかけてくる気配を感じて、Aは口を開く。
「まぁ、お金は別の場所にプールしてあるし、スーツとか洋服とか小物は買えば済むし。
燃えて困る物は多くないしね。」
数こそ少ないが、コナンはAに会うたびに毎回開いた口が塞がらない様な気分になっている気がした。
(おいおい、家が燃えたって事は火事だろ…?)
あっけらかんとしたあまりにも軽いAの態度に、コナンは、いつもならば火災の原因や背景などを真っ先に探ろうとする自身の思考が逸らされている事にも気付かない。
「別の所、借りてるの?」
「半分アタリで、半分ハズレかな?」
(半分アタリで半分ハズレって事は…オーナーかよ…)
「何個、家持ってんだよ…」
その後、会話は途切れた。
途切れたといっても、コナンにとっては居心地の悪い沈黙ではなかった。
あと5分もすれば、毛利探偵事務所が見えてくる頃だろうか。
コナンも歩きながら、なんだかんだAは自身が探偵事務所のドアを開けるまで見届けるつもりなのだろうかと思った。
(こうしてみたら、復讐なんてものとは無縁に見える人なのにな。)
「Aさんはさ…悪い人達の敵、だよね?」
コナンには聞きたい事が他にもあった。
しかし、一番聞きたいキュラソーの取引との事について聞いてしまえば、あの時の安室の言う通り、Aが素直に答えてくれる訳がないと思ったし、途端にこの心地よい距離感が遠くなる気がしてコナンはこう聞くしかなかったのだ。
(後書き)
高1と誤って表記していたのですが、ご指摘頂き高2と修正させて頂きましたm(_ _)m!
あるまじき初歩的ミス…お恥ずかしい!
もしまた何かミスございましたら遠慮なくご指摘頂ければ嬉しいです。
今後ともよろしくお願い致します^_^!
ありがとうございました!
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虎鉄(DC一時お休み中)(プロフ) - スカイさん» スカイ様、返信遅れて申し訳ありません!コメント下さり有り難う御座います(^^)スカイ様の涙腺を刺激出来たなら本望です笑。御礼を言うのはこちらの方です。短くはないこの作品を読んで下さり、そして感想まで下さり本当にありがとうございました!!感謝です。 (2020年6月20日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - すごく感動しました。涙が溢れてきて胸がキューとなってこんな素晴らしい作品を作ってくださりありがとうございます (2020年6月13日 2時) (レス) id: 8bcf366f5d (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - しろさん» なんと嬉しいお言葉でしょうか。自己満足の小説に、その様なコメント頂けて嬉しいと感謝の他に言葉が見つかりません。落胆されぬ様にこれからも執筆させて頂きます!これからもよろしくお願いします。ありがとうございます! (2018年5月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 初めての感覚です。何か映画や連ドラを見てる気分でした。心の底から応援してます!!こんなに引き込まれるのは初めてです!!!! (2018年5月30日 18時) (レス) id: fe2831d1b4 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - KAZUKIさん» コメントありがとうございます!身に余るお言葉…そう言って頂けて本当に嬉しいです。10枚以上書き連ねたプロットが報われる様な気がします。話が重く複雑なので悩む事もありましたが、書いてきて良かったです。もうすぐ佳境です、引き続きよろしくお願い致します★ (2018年5月30日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月20日 15時