コンビニ店員がドタイプだった。【影山飛雄】

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影山side

「インフルエンザでした」

病院から貰ったものなのか、マスクをつけて
真っ赤な顔でそう言うこいつ。


こいつはこの間はじめてバイト先のコンビニで
見かけた、と思ったら毎日のようにスイーツを購入したかと思ったらつい1週間前には突然、あたりめとコーラ。


変わってる女だな、と心の底から思った


「歩けるか」

「ん、」


熱のせいなのか力無い返事をするこいつの名前は
伊藤A


昨日までの俺はまさかこの変わり者の客の女子高生
が熱で座り込んでる所に遭遇して
看病した挙句病院にまで連れていくなんて想像もしてなかっただろう


現に、今でも何で自分がここまでこいつにしてやってるのかは謎だ。


「飛雄、おんぶ」

「……お前、遠慮って言葉知らねえのか？」


なんて毒を吐きつつもAに背中を向けて
しゃがむ俺はぜってえに優しい。


「ほんとに生意気だよなお前」

「飛雄にだけだよ」


こいつも今日本格的に会話を交わすようになった相手に良くまあこんな事が言えるもんだ



「…熱上がってんだろ」

「わかんない、測ってないもん」

「家の場所、教えろ」

「次の角右」


俺の背中はこいつの体温でじんわりと暖かくなっていて、


それが何故か心地よかった。

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