コンビニ店員がドタイプだった。【影山飛雄】

２０ ページ21

影山side

「こっち向け」

「やだ」

いいから向け、と無理矢理俺の方に向かす





「いやだ…っ、」

顔をクシャクシャに歪めて
ボロボロ涙を流しているA見て
よくわかんねえ感情が沸いてくる



こんな顔させたいんじゃねえ、
泣いて欲しい訳じゃねえんだ。




「なんで泣いてんだよ、」


親指で涙をすくってやれば
ピクリと控えめに肩を揺らす


「なんでお前が俺の気持ち勝手に決めてんだよ。」


「ぇ、？」


「誰がいつお前の事好きじゃねえなんて言ったんだよ」



好きでもない子にとか、期待しちゃうとか
Aにそう言われるたびに苦しくなる


「好きでもねえ奴を、抱きしめたりする訳ねえだろ」


「うそだ、…っ」


「嘘じゃねえよ、お前が好きなんだよ」


驚きに見開かれた目は次第にまた歪んでいく
それでも泣かないように唇を噛み締める姿に
愛おしさが沸いてくる



「泣くなって、」


「だって…っ、私だけだと思ってた…！
私だけが飛雄の事好きなんだって思っ_____」




気づいたら俺はAの口を塞いでいた

２１→←１９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す