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安否の確認が出来るなりほっと息をついてしまう。レオンさんの部下である彼がこの場で京極さんに勝負を挑んだのは「え、今!?」って思ったけど、彼にとって京極さんはそれほどまでに戦いたい相手なのだろう。
「Aさん!」
『リシさん!?』
「どうして此処へ?!」
騒ぎの中、リシさんの声が聞こえて驚いてしまう。
予備警察であればと考えるが、手に握られている拳銃が視界に入れば、そんな彼に近づくことを躊躇ってしまう。
「貴女は海賊に狙われているですよ。さあ、僕の元へ」
『っ、』
必死な形相で私を見つめる彼に手を差し出されてしまえば、自分の躊躇いが恥ずかしく思えてしまう。彼は私を危険から遠ざけてくれたのだと考えれば、躊躇うことが不自然なのだ。
園子は京極さんが居れば安心だろう。私はリシさんへ近づく一歩を踏み出そうとする。
「A!」
『(――え?)』
私を呼ぶ声に動かしていた足を止めてしまった。今確かに――、“彼”の声が聞こえた気がしたのだ。
この場において、周囲を見渡す私は不自然だっただろう。リシさん眉間に僅かな皺を寄せ、大股で私に近づくのだ。
「さあ、此方へ」
「そこまでだ、リシさん!」
『え!?』
リシさんと私の間を割り入ったのは意外にもアーサーくんだ。その様子に困惑していれば、リシさんは普段の穏やかな表情とは大よそ似つかわしくない表情を浮かべる。
「またキミか」
「うわあっ」
『アーサーくん!?』
アーサーくんを押しのけた彼は乱暴に私の手を掴み、握っていた拳銃を私の頭に押し当てるのだ。そこで私はアーサーくんが止めに入った理由を知り、また、リシさんの不敵とも言える笑みの理由に遅れながら気付くのだった。
騙されていたのだと感じる反面、迷惑をかけてしまったことの後悔しかない。
身代金目当てであれば殺される心配はないと思いたい。唇を噛みしめつつどうやってこの状況を打開しようかと考えた時だった。私たちの立っている床全体が爆音と共に大きく傾いたことに気付いたのは。
『っわ、』
床の傾きに合わせて身体が多く傾いた。バランスを保てず転んだ拍子でリシさんと離れたのは救いだが、傾けば傾く程、身体が滑り落ちるのだ。
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美紀 - 初めましてコナンの映画大好きなので最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - shoko0619さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。そういっていただけるとうれしいです^^ 完結に向けて続編をつくりましたので、引き続きそちらで読んでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 冷やし中華さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。完結できるように書き進めようと思っていますので、またお暇つぶしに程度に来ていただければと思います (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» お返事遅くなりました! ありがとうございます。願望の塊ですが少しでも楽しんでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - 神崎さんの小説読ませていただいてます。もう最高すぎます。キッドとヒロインもうドキドキで見てます。もう更新はされないのですか? (2020年4月20日 13時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎 | 作成日時:2019年4月19日 22時