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『あっ、園子!』
不意に過った友人の名を上げた私は、窓から見える光景に目を背ける意味も兼ねて扉への道のりを駆け出すのだ。
誤魔化すことの出来ない掌の痛みが現実に戻るなり襲い掛かってきたので、落ちていたガラスでスカートの裾を引き裂いた。
『こういう時ってドレスは便利かも』
大会が終わったまま来てしまったのでドレスを着たままだったのが救いだろう。シルク素材は私の力でも容易に裂くことが出来たのだ。
簡単な応急処置を施した後、出口へ向かう扉に手を掛けるが、微動だにしなかった。
ドラマや映画で見るように扉に体当たりすることも考えてみたが、それよりも簡単な方法を思いつくのだった。
―――
――
―
Side.新一(キッド)
名探偵と情報を共有しつつ今回起こった事件の真相に迫れば迫る程、想像を絶した計画が潜まれていることに気付いたのだ。
人込みを掻き分けつつ、名探偵がケータイを握りしめる理由も分からなくはない。
「(A……!)」
思い起こすのはやはり彼女のことだ。
時刻は夕暮れ。もうすぐで始まるマリーナベイサンズでのショーを名探偵の想い人と観に行くと行っていた。つまりAは今頃ホテルの一角でショーを待つ群衆に紛れているのだ。
「くそっ、繋んねー。Aのヤツも繋らねーし」
「仕方ねえ。一か八か行くか!」
このまま人込みを掻き分けても埒が明かない。暴れる名探偵を抱えたまま船着き場まで駆け出し、瞬時にキッドへ変装するのだ。
俺の存在に気付いた警察たちが声を荒げる中、ハンググライダーで宙に飛び交う。途中で海賊の仕掛けてきたミサイルによって撃ち落とされそうになるも何とか回避する。
一方の海上では、レオン・ローの策略により中富海運の所有するタンカーでシンガポールの町を壊滅させる目論みが警察によって食い止められている所であった。
「此処は警察に任せよう」
「ああ!」
向かうはマリーナベイサンズの屋上。
今頃、レオン・ローと対峙しているであろう今回の黒幕――、リシ・ラマナサンの行動を阻止するためだ。
「降ろすぜ、名探偵!」
「ああ」
予想通り、レオンと対峙するリシの姿があった。その手には拳銃が握られていて、いつ発砲しても可笑しくない状況だ。
トランプ銃でその銃を狙い撃ち、銃が手から離れた所を名探偵が遠くへ追いやった。そこで俺も着地し、今回の事件の真相解明となるのだった。
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美紀 - 初めましてコナンの映画大好きなので最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - shoko0619さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。そういっていただけるとうれしいです^^ 完結に向けて続編をつくりましたので、引き続きそちらで読んでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 冷やし中華さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。完結できるように書き進めようと思っていますので、またお暇つぶしに程度に来ていただければと思います (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» お返事遅くなりました! ありがとうございます。願望の塊ですが少しでも楽しんでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - 神崎さんの小説読ませていただいてます。もう最高すぎます。キッドとヒロインもうドキドキで見てます。もう更新はされないのですか? (2020年4月20日 13時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎 | 作成日時:2019年4月19日 22時