４２ ページ44
4回目観てきました。
…………
『え、なに！？』
続いて響いた爆音に目を丸くするしかない。部屋の感じからも宿泊していたマリーナベイサンズの一室であることは分かったものの、普段耳にすることのない音に身体がすくんでしまう。
『私の知らない間になにか起こってるんだ、きっと！』
そして、その何かに私を捕らえた海賊たちが関与しているのだろう。慌てて駆け出した様子からも只事ではないようだ。
再び聞こえた爆音と地響きに首をすくめつつ、慌てて残りの縄を解こうとする。しかし、頑丈に括られているそれは私の力じゃ緩む気配がない。
『どうしよう！？』
そうこうしている間にも再び地響きが襲ってくるので気持ちは焦る一方だ。
辺りを見渡した時に、椅子に縛られている私を映し出す窓に目が留まった。躊躇いがない訳ではないが、いつ海賊が戻ってくるか分からない状況でうかうかしていられないのだ。
『っし』
女は度胸だとどこかの本で読んだことがある気がする。
足をじりじり動かすことで椅子ごと窓側へ近づいた私は小さく息を吸って、吐き出した。
部屋をざっと見渡した限り、なにか窓ガラスを割れるものは置いてなかった。私から脱出する術を奪い取るつもりだったのだろうが、椅子を動かそうとしたのは盲点だっただろう。そして、そんな私が素手で窓ガラスを割ろうとするなんて考えなかったに違いない。
バリン
『〜〜っ』
流石ホテルの窓ガラスだ。そう簡単に割れるものではなかったけれど、再び襲い掛かってきた地響きと共になにかが窓ガラスに激突したことで割ることに成功したのだ。
手の痛みに耐えつつ、床に落ちた破片の中でも比較的大きなものを手にする。そして、ナイフの要領で縄へと刃を向けるのだ。
『よしっと、』
お腹と足首の縄を切ることが出来たのは、手から伝った血が水溜まりのように広がった時だった。切れるなり立ち上がった私は状況を確認するために割れた窓に顔を近づけるのだ。
『……え？』
最初に感じたことは、此処は映画の中だろうかという現実逃避だった。
ホテルを揺るがす振動は落ち着くことは知らない。宙を舞う火の粉も、次々と倒壊していく建物も、爆音だって俄かに信じられない光景であったのだ。
その渦中に自分が居ることにも驚くが、海賊の目的が分からずにいた。
私や園子を誘拐することが目的だったはず。他にも目的があったのだろうか……？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1198人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀 - 初めましてコナンの映画大好きなので最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月4日 12時) (
レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - shoko0619さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。そういっていただけるとうれしいです^^ 完結に向けて続編をつくりましたので、引き続きそちらで読んでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 冷やし中華さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。完結できるように書き進めようと思っていますので、またお暇つぶしに程度に来ていただければと思います (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» お返事遅くなりました！ ありがとうございます。願望の塊ですが少しでも楽しんでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - 神崎さんの小説読ませていただいてます。もう最高すぎます。キッドとヒロインもうドキドキで見てます。もう更新はされないのですか？ (2020年4月20日 13時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神崎 | 作成日時：2019年4月19日 22時
