【名探偵コナン】笑って、マイヒーロー【紺.青.の.拳】

３５ ページ37

　
　日本に居るだろうコナンくんにするように頭を撫ぜれば、彼と同じような反応が返ってくる。最近の子どもは皆こんな感じなのかと考えると、何も考えずに行動していた自分の子ども時代が恐ろしい。
　突然呼び起こされた過去の記憶を消すように首を振りつつ、アーサーくんに向けて掌を見せる。
　
『蘭が朝食に誘ってくれたんだ。アーサーくんも一緒に行こう！』
　
　大会の決勝に間に合えば問題ないだろう。
　申し訳ないが、京極さんの出ない試合は誰が勝つのか分かっていて面白味に欠けるのだ。
　彼の手を引きつつ、蘭から聞いた園子と京極さんの痴話喧嘩を思い起こすのだった。
　
―――
――
―
　
　
　蘭に指定されたお店へ行けば新一も居た。蘭が一方的に怒っている様子を見ていれば、恐らく“昨日はどこへ行っていたんだ〜”的な内容なのだろう。
　……よし、仕方ないから新一を助けてあげよう。
　
『おはよう、蘭！ それに新一も』
「A！ アーサーくんも来てくれたんだね」
　
　私、それから私と手を繋いでいるアーサーくんへと視線を移した蘭は新一のことを忘れたようであった。
　勧められるがままに椅子へ腰を下せば、彼から両手を合わせて謝られる。謝るなら私じゃなくて蘭だろうし、ふらっと何処かへ消えなきゃいいのにねー。自業自得だと思います。
　ウェイターさんへ注文を終えて彼らに向き合えば、蘭に微笑まれるのだった。……なぜ？
　
「ふふっ、Aが元気になって良かった」
『へっ？！』
　
　アーサーくんに蘭までも。気付かない間に心配をかけてしまっていたようだ。
　しかし、次の発言は予想外すぎた。
　
「もしかして、昨晩も連絡があったの？ 快斗くんから」
「ぶっ！」
「？」
『ええ！？ ち、違っ！』
　
　微笑む蘭に、飲み物を吹き零す新一。アーサーくんは首を傾げていたが、私自身事情を説明出来る状態ではない。
　蘭に一昨日快斗から電話が来たことを伝えたのが間違いであったことに遅れながら気付くのであった。
　
『違うから！ 蘭はなにか勘違いしてるからね！？』
「えー、違うんだ。彼と話して元気になったのかと思ったのに！」
『大きな誤解です』
　
　元気になった理由が近からず遠からずといった具合で良かった。
　女の勘というヤツだろうか。時折鋭い質問が飛んでくるので焦ってしまう。
　
　
　

３６→←３４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す