【名探偵コナン】笑って、マイヒーロー【紺.青.の.拳】

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　会場を抜け出してみると、警官の多さに驚いてしまう。金庫がある建物の周囲にはネズミ一匹逃さないと言わんばかりの警護で、遠目からみても緊迫感が伝わってくる。
　近場で昼食を済ませた私は、会場周辺の建物を見回りつつも普段は活用しない頭を回転させてみるのだ。
　
『レオンさんの行動がどうも腑に落ちないんだよなあ』
　
　彼は犯罪心理学のプロフェッショナルなので、キッドの行動を予測出来たことには納得できるけど、京極さんの控え室に居たことに疑問を抱いてしまう。
　ただ純粋に試合を見て感動したとか？ 彼ほどの人であれば、そのことを伝えるためだけに選手の控え室に訪れるとは考えにくい。
　レオンさんのの部下である彼が優勝候補だから敵視してるなら分かるけど。……宣戦布告とか？
　
『ああいう、頭の良い人を前にすると深く勘潜っちゃうよねー』
　
　なにを考えてるか分からないし、私の浅い考えに彼が当てはまることはないだろうけど、今の所キッドに危害を加えそうな人物と言えばレオンさんだろう。
　彼は直接キッドを下すタイプではないだろうしなー。狙うとすれば金庫を出た直後とか？
　やっぱり新一と一緒に金庫に行くべきだったかな。
　自分の考え無しな行動に後悔しつつ踵を返そうと足を止めた時、観光客だろう外国人が空を指さしていることに気付く。
　上空を飛ぶのは大きい鳥なんかじゃない。あれは、怪盗キッドだ。
　
『！』
　
　上空をキッドが飛び立った後、突如として聞こえてくるサイレンの音。それらは全て同じ方向に向かっていて、私はパトカーを見失わないように走りだし、途中で見つけたドラックストアに駆け込んだ。
　
『(用心には用心を重ねないとね)』
　
　包帯やガーゼなどの応急セットやミネラルウォーターを適当に買い込んで外へと出る。方角を確認してれば、離れた所から嫌な音が聞こえてきたのだ。
　
『あれは銃声？』
　
　最悪の展開が頭を過って振り切るように駆け出した。
　土地勘がない上に狭い路地が張り巡らされた此処では、キッドを探せる自信はなかった。それでも、何もしないという選択肢を選ぶことは出来なくて、辺りを注意深く見渡しながらキッドが居そうな場所を探すのだ。
　
『銃が必ず当たったとは考えにくいけど、』
　
　飛んでいるキッドを撃ち落としたとは考えにくい。会場からも距離があることを考えれば、ハンググライダーを解除させて地上にいる可能性が高いだろう。
　
　
　

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