【名探偵コナン】笑って、マイヒーロー【紺.青.の.拳】

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Side.A
　
　レオンさんの屋敷で美味しい紅茶を頂き、少し談笑した時に起こった騒ぎ。
　その騒ぎを予測していかのように口角を押し上げた彼に疑問を抱いたけれど、理由はすぐに知ることになった。
　
『(――キッド、)』
　
　実弾を躱すという奇術をやってのけた彼の危険な一面は見てきたつもりだ。
　それでも、いつ怪我をするか分からない、もしかすると命を落としてしまうんじゃないかという不安は膨らむばかりで、気付けば柵を飛び越えて手を伸ばしてしまった。
　あの時は彼を助けたい一心だったけれど、所詮は自己満足というものなのだろうと考えて少し悲しくなった。彼からしてみれば、私は顔見知り程度の一人であってそれ以上の興味はないのだから。
　
「あ、A！ 遅かったじゃない」
　
　レオンさんのボディーガードにホテルまで送ってもらう道中でも考えるのは彼のことばかりだ。
　無事に逃げ切れただろうか。彼は怪我を負ってもそれを隠すのが上手だから、もしかすると重症を負っていたりしないだろうか。
　会いたいと思っていたのに、会わなければ良かったとすら考えてしまう。
　
「A？」
『あ、ごめん。ちょっと考え事してた』
「ふーん？ あんまり考え込むのはよくないわよ！」
『そうだね！ 今は楽しむことに集中する！』
　
　園子の底抜けの笑顔に癒されて、取りあえずキッドが無事であることを前提に考えることを放棄した。
　折角の屋上プールだ。夜景とプールが一緒に楽しめることが出来る機会なんてそう訪れることがないだろう。
　あれよあれとと言う間に水着に着替えさせられて、プールへの門を潜る。
　
『うわ、人が多いなー』
「私は飲み物買ってから合流するね。蘭はあっちのほうに居るから！」
　
　新一はアーサーくんを連れてどっかへ行ってしまったらしい。仲が良いなーと考えながら蘭の居る場所へ行けば、既に新一が彼女の傍にいたのだ。
　
　
　

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