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玄関ホールでひと悶着?あったあと、私たちは客間に通された。
豪華な内装にきょろきょろと辺りを見渡しつつアーサーくんの隣に座る。
すると彼の前にオレンジジュース、私の前に紅茶が置かれる。美人な人だなあ。秘書さんかな?
『あ、美味しい』
「気に入って頂けましたか? A嬢」
「その紅茶は“The 1872 Clipper Tea”。日本ではまだ進出していないシンガポールを代表する有名紅茶店です」
聞いたことのある名前だ。
なんでも、シンガポールで創業したジュエリー店の店頭で、顧客にセイロンティーを出したというのがルーツだったとか。
紅茶好きの私に“ジュエリー店”繋がりでこの紅茶を提供したと言うのであれば、彼は相当の手練れだと言えた。私が此処へ来ることを推測していたのだろうか。
「かねがねお会いしたいと思っていたのです。A嬢」
「申し遅れました。私はレオン・ローと申します」
私の傍に跪いた彼は私の手の甲に唇を落とすのだ。
「皆さんをお待ちしていました。私のボディーガード兼、警備主任のヘッズリ・ジャマルッディンも同席させてください」
上司の紹介によって頭を下げた屈強な男の人は、今回の大会でも注目選手に位置していた人物で間違いないだろう。
京極さんとも面識があるようで、二人だけで話始めてしまった。今回の選手同士でお互いに思うことでもあるのだろうか。
私と距離を取ったレオンさんは新一のほうに目を配せた。
「あなたが高校生探偵の工藤新一さん」
「よろしく」
片手を上げて挨拶をする新一にレオンさんは顎に手をかける。短く思案した後に飛び出した言葉に驚いてしまう。
「君は探偵と言うよりマジシャンのようだね。指が細くてしなやかだ」
この一瞬で相手の指先に注目する洞察力、或いは観察眼に舌を巻いてしまう。
“シンガポールの名探偵”その名前は伊達ではないようだ。
……しかし、新一は根っからの探偵オタクだったはず。どうしてマジシャンの話題になったんだろう。
「俺は探偵といっても、腕っぷしより“ここ”で勝負する方なんでね」
新一は指先で自分の頭を指してみせる。その気障な言動は新一で間違いないだろう。
今回の話題の中心が宝石だったから、つい“キッドなのかも”という疑念が生まれたけれど、私が深く考え過ぎているだけなんだろうな。
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美紀 - 初めましてコナンの映画大好きなので最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - shoko0619さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。そういっていただけるとうれしいです^^ 完結に向けて続編をつくりましたので、引き続きそちらで読んでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 冷やし中華さん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません。完結できるように書き進めようと思っていますので、またお暇つぶしに程度に来ていただければと思います (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» お返事遅くなりました! ありがとうございます。願望の塊ですが少しでも楽しんでいただければと思います^^ (2020年5月26日 0時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - 神崎さんの小説読ませていただいてます。もう最高すぎます。キッドとヒロインもうドキドキで見てます。もう更新はされないのですか? (2020年4月20日 13時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎 | 作成日時:2019年4月19日 22時