華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

78:誰かが… ページ29

ノブを回してみる
少し錆びているけどノブは回った


でも途中で引っかかる



(んー、だめか
開かない

一応それなりの器具も持ってるし
これくらいのノブなら破ることもできなくないけど……
そこまで必要かなぁ)

なんだかんだ錠前破りみたいなことも
簡単なら出来たりする
兄がこういうのなぜか地味に上手かったから
ずっと前に教えてもらった
兄は昔から色々と器用だったから

念のため開けておこうと
カチャカチャやってみるが

誰かにみられてないか気になり
なかなか手元が上手く動かない
少しの物音でも不安になる
風で物が揺れる音なのに

もし彼のような任務があったとしても、緊張して自分はうまく出来ないんじゃないかと思った


(……ぁ、革靴の響く音だ)



コツコツと誰かの足音が聞こえる


彼がもう来たのかもしれない

だか急いでスマホで時間を確認したら
まだ予告時間すらなっていない


(……あれ、ちょっと待て？早くない？

流石に違うよな

ってか時間帯まだ何もしてないときでしょ？



後4分で予告時間のはずだよね、確か



……ってことは彼じゃない！？)

屋上のドアの鍵を彼が来るまでの間、
閉めてしまえと思ったが
すぐに出来ないと気づく
大体鍵は壊れていた

(ヤバイよ、どうしよう
隠れる？隠れない？)


丁度私の今いる位置は
屋上の出入口の扉はみえない



つまり中に入って奥まで来ない限り
私は見えない



なら、そのまま待機しようか
もしかしたら私に気づかないで帰る可能性もなくはない


でももし、此処にいるのを誰かにみられたら……


どうしよう


…いや、落ち着け
もうそこまで来たら堂々としていようか
他の行動にでたら疑われる間違いなしだもん




一応出来るだけみえにくい際で
落下防止の柵に手をのせて外を眺めた

足音が少しずつ近づいていく

(っていうか屋上が鍵かけられてないとか警備甘くない？
それより管理甘くない？
もしこの屋上から飛び降りる人がいたらどうするの)


止まった…


多分屋上のドアの前だ

(笑い事じゃないよ、いろんな意味で)

……ｷﾞｰｯ

軋んだ音を出してドアが開く

こういう時、地味にドアが開くのに時間がかかっているような変な感じがする

心臓が、心拍数が速くて
まるで耳に移動したかのようにこだまして
どうにかなりそうだ

でもどうすることも出来ない

(どうにでもなりなはれ
こうなったらなるようにしかならぬ)


思わず武士口調になりそうだったが
私は覚悟を決めた

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