華麗なる奇術師たち 1【怪盗キッド】

45:マジック以外で ページ45

電話越しに楽しそうな笑い声と
相変わらずのブザーの音が聞こえて
少し経ってから
急に静かになった



「ん、どうした？…
…飽きたか？」

『……

…あぁ、だいぶね…
やることこんなにないのって久しぶりだなって考えてた』


「……なんか欲しいもんあるか？
今日持ってくけど」

『ありがとう……
って今日来てくれるの？』


「……まぁな……

ってかオメー、今日には退院するだっただろ？」


『あー、そうだったね笑忘れてた』


「ったく忘れるも何も…
オメー有名人だからそこに入院は、
長い間病院居るのは少し危険があるって話だったろ？

……俺が来るまでしっかり休んどけよ」


『うん、

…………あのさ、』


「なんだ？」


『授業のノートのことなんだけど、
……良かったらみ……』


「あー、学校のことは任せとけって
余計なこと心配しなくていいから

オメーに分かるように先生みたく説明してやるよ」


『……笑
本当？ありがと』


「お、おう」
(良かった……)


いい格好してるけど正直、
要らないよそんなの、
とか言われたらどうしようかって思ってたから
改めて頼まれて頼られるのが嬉しかった


『おっともう15分だし切るね、よし…私も頑張るね』


「おう！またな」

…


(15分、もうすぐ授業か…
めんどくせー笑)



だけど裏腹に顔がほころぶ俺がいた

(よし、ここからもうひと踏ん張り頑張ってやるかな)


そう思いながら席についてさっきの続きにむかう


もう白馬にさっき言われたこととか、
青子が訳もわからず泣いてたこととかも
半ばすっかり忘れて俺はただ、
Aのために楽しんでいた



(久しぶりだ､マジック以外のことで集中して何かやろうと思ったのは

やっぱ人のためにするって楽しいんだな

そういえばすることなくて暇だとか言ってたよな

何か持っていこうか
どうせろくに暇なんてなかっただろうから家に帰っても
暇潰しするもんなくてマジックやってそうだし


……いや…スマホがあるから何かしら暇は潰せるか？

だったらいっそ
退院記念になんかやってあげようか

マジック？…

なんかそれはAにしてもなぁ苦笑

まあ一番やり易い俺の典型的祝いだけど
喜びそうなもの……なんだろう


別に今日じゃなくてもいいか…

半端なプレゼントよりしっかりしたものの方が
喜びそうだな…

何か作るか……何かをあげるか

寺井ちゃんに頼んで病院行くついでに
なにか探してみようかな)


午後からは余裕ができて、そんなことを考えていた

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