華麗なる奇術師たち 1【怪盗キッド】

32:いつもみる悪夢 ページ32

「……あっ、えーっと……？」

「寺井ちゃん」


「あっえーっと、さっきいってた付き人さんですね」

私が思い出すまでなにか言いたそうな顔をしていたが、私が会釈をすると嬉しそうに笑ってくる

「あの有名なRUI様とお会いできてこの寺井、とても嬉しく思います」

(なんか若干、執事みたいになってるよ……笑)


「ごめん、寺井ちゃんには話しちゃったからさ、Aの正体」と申し訳無さそうにいう


「いいよそれくらい、だってKIDの付き人なんでしょ？

私の付き人も黒羽君のこと話してあるから
おあいこってことで」
と笑ってみせた


「…マジかぁ」
といいながらもホッとしてる彼


「お邪魔してすみません」
と立とうとしたら立つなと睨まれた


「おいおーぃ、さっきも息荒かったのに立とうとすんじゃねーぞ？」
怒り気味の黒羽君


「では、この辺で…御ゆっくり……
ぼっちゃん何かあったらまたいってください」

っていってしまった寺井さ……ちゃん
(寺井って名前なのか……
確かに寺井さんより寺井ちゃんの方が良さそうにきこえるな……)


そして来る沈黙……


「で、

どうしたんだよ？…
さっきはフツーに寝てたぞ？」

「あ……あぁ…多分悪夢だよ…うなされてた

最近多いんだよね…」


「悪夢……どんな？」


「……ぇ？」
(え、本当にそれ言わせるの？)

黒羽君をみても彼は真剣な表情で私をみるだけ…


「ほら、夢って人にいうと人にうつるっていうか…
その夢をみていた人から消えるっていうだろ？

だったら、Aも話せばその夢みなくなるんじゃねーのか？」


「…夢が消える？」


「そう……いつもみて辛いんだろ？
だったらもらってあげるよ」


真剣な表情でまっすぐそういわれて嬉しかった
とはいえ、いうのは少し恥ずかしい
ぼそぼそと話した

「あの…
兄の……出てくる夢で

中２のころ、兄が一流マジシャンになるために修行するって家を出てって

だけどそれから全く帰って来なくて…
今両親が活動しながらも海外で探してるんだ

私…兄が出てった後に見つかった私宛の手紙を見つけて…

『これを見つけたとき、お前が思い出してくれたら嬉しい
一緒にいれなくてごめんな』って」


「……お兄さんは今後一緒にいられなくなるのを知ってたって訳か…」

深く考える彼

「そう…

…それに思い出してって…

普通そう簡単に自分の兄弟忘れないでしょ？
それってまるで…


もう会えないみたいじゃない…」

いつの間にか私は感極まって泣いていた

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