華麗なる奇術師たち 1【怪盗キッド】

30:早退組 ページ30

「じいちゃんって？」


「俺の付き人、今家で暇してっから多分」


「いやそれ失礼でしょ！それに迷惑だs…

『いーんだよ！それくらいまかせとけよ』

……はぁ…」


(もういい……きりがない)

俺はさっさと寺井ちゃんに電話した

(あー勿論俺もサボろっと
当たり前だろ笑)

Aには『はぁ？笑』って言われた
彼女は抵抗をやめたらしい

寺井ちゃんは丁度近くにいるらしいから用事が終わり次第来るようだ


その間、俺はAと俺の荷物を
こっそり運ぶことにした

(適当に持ち出せばいーよな……)

案外、俺は気配を消しながら物事をやるのも得意だ
幸い休み時間で教室の出入りがしやすかった

だが、さぁ保健室に戻ろうって頃に面倒くさいやつに出くわした


「帰るんですか？
…あー昨日君は夜遅くまで追われてましたからね」

そう、あのあと見つかったのでハングライダーで逃げたが運よくまた見つかって
少し帰るのに苦戦した


「何だよ」当然しらばっくれる


「またサボるんですか？」


(白馬…)
「んだよ、俺の勝手だろ？」(何でいつもうまい具合に邪魔するんだよ、こいつは)


「その荷物は？君のではないでしょう？」


「…これは……」

(うっ、痛いとこつきやがって
どうする俺…
あいつはばれてないんだし
Aに被害が回らないようにしてやんないと)


「たまたま横通るなら届けてあげればいーだろ？」


すると思いの外向こうはAのことを
重要視してなくて、

「へぇ珍しく女性に優しいんですね
あ、そういえば女性と言えば、
青子さん様子が変でしたよ？…

…いいんですか？そのままにしておいても」


「……さーな……よく知らねーけど」


「おや？珍しいですね、
彼女のことを気にしないで知らないなんて」
って笑う


もう下手にごちゃごちゃ言わない方がよさそーだな
俺はさっさと保健室に向かおうと歩き出す


「金剛石Aさん、早退ですね？

君は知りませんが、彼女みたいな優秀な方が連絡も無しに帰ることがあってはいけませんし」


「あぁ、そうみたいだ、頼む」
そう言い残してその場を去った


(ってか確かにAは優秀には違いないけど
いちいち先生に報告しなくてもいいか…

なんて言ってたのは彼女の方なんだけどな)


……

その後俺の後ろ姿をじっとみてた白馬なんて知らなかった


「へぇ…一緒に下校ですか…
珍しいこともあるものですね…
いつも言い合いしているけれど、拗らせている割には無関心なことにも…」

……

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