華麗なる奇術師たち 1【怪盗キッド】

29:オメーのことが心配なんだ ページ29

そんな風だから彼女とゆっくり話す機会があって
(正直、そのためもあって保健室に運び、目を覚ますのを待っていたのだが)
純粋に楽しかった

それに彼女があまりにも自分の体を大切にしないのを心配してるってことも知ってほしかった

彼女が『真実』って言ったこと

俺はすごく知りたくなった
何を抱え込んでここまでやってるのか

でも、言いたくないみたいで器用に話を反らされた


いつかお互いの抱え込んでいることが話し合えたらいいなって思えた
何故だろう、似た者同士だって直感的に思ったからだろうか


あまり話さない俺と彼女が話してたら
不審に思われるかもしれないと急いで隠れたが

青子達の話を盗み聞きしていて腹が立った
Aの事じゃなくてまさか俺を呼び戻すために来たのだなんて


なんかイライラして気づいたら俺はAの看病がしたいんだみたいな感じで…

今思えば恥ずかしいことをしてたかもしれない
でも実際心配してたのに変わりはないのだから何の間違いもないし、
そんな様子を彼女は拒否しなかった

結局、青子達は訳わかんねーままクラスに戻って…正直これで良かったなんて思ってた

Aは病人を否定するけど
実際病人には違いない

そんなやつを何故かそこまで気にしないアイツなんか今はどうでもいいし、
それに幼馴染みだからって過保護でごちゃごちゃいいに来たのだろうから好きにさせてくれと思ってしまった


俺はアイツらが去ったあとそう考えていながら
Aを盗み見た

顔色はよくなったけど……
しっかり休まないとまた倒れかねない


「お前さぁ…もう家帰って休めば？」
そんな言葉を言っていた


「ぇ？……大丈夫だよ、結構しっかり休んだし」


「どこが？

…まだ全然やすんでねーだろうが
俺と違ってちゃんと学校も休まず来てるんだろ？

こんな日ぐらいしっかり休めよ!!」


これだけは譲れない…俺は心配なんだ


気付いたら大声で怒鳴ってる自分がいて

「……ぁ、……わるい……」
熱くなり過ぎて声を荒げてしまった


「……うんごめん助けてもらってそれはないか…
…でも家帰っても誰も居ないんだよね
一人だしなあ」


「付き人さんは？」


「私の代わりにショーの打ち合わせや器具の修理をいつもしてもらってるんだけど、
今日は朝から用事があって遠出してる……多分」


「何で今日に限って……
それじゃ自力で帰るってことだろ？
あーもわーったよ、寺井ちゃん呼ぶわ
ちょっと待ってな」
そう言ってスマホを出した

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