第365話 ページ36
ガラッと扉が横に引かれ、警部がものすごい勢いでお堂の中に入る。
一目散にキッドを取っ捕まえるのかと思いきや、鈴木相談役の頬にハンコを押す。
続いて日売テレビの人たちや中にいた機動隊の人にムニュムニュとリズミカルに警部はハンコを押していく。
「どうだキッド!お前以外の大人全員に印をつけたぞ!」
息を荒げながら最後に自分自身の額に判を押す警部。
子供以外に……ねえ。快斗は全て見越していたんだろうかってくらい都合よく物語が進んでいく。
「よーし、ジイさん! 絶対に扉を開けるなよ! 今回こそ年貢の納め時だ‼︎」
高らかに警部が勝利宣言をしピシャと扉が閉められる。
あ〜中の様子見られねえじゃん。中に入っときゃよかったな、と扉の前で後悔する。
「さーて……そいつはどうかな?」
そんな声がお堂の中から聞こえてきたかと思えば、ポンポンとトランプ銃の発射音が耳に届く。
トランプ銃は蛍光灯をぶら下げていた鎖を壊したようで、お堂の中が真っ暗になった。
「照射!」
警部の指示が聞こえ、外で待機していた機動隊員が明かりをつける。
「探せ! ワシのハンコが顔についてない奴を‼︎ そいつがキッドだ‼︎」
「し、しかし警部!」
「全員の顔にハンコがついていて……!」
「キッドの姿だけどこにも見当たりません‼︎」
「そ……そんなバカな!?」
中の様子は見られないが、最初の計画通りであれば子供たちの誰かに化けているはず。
そんなこと思いつきもしない警部や工藤新一たちはさぞ混乱しているに違いない。
「おーい、助けてくれよー!」
「ん?」「げ、元太君……」
「ど、どうしたんですか? その穴……」
「知らねーよ! 暗くなったら誰かに捕まれてこの穴に押し込まれたんだよ!」
はーなるほどね。と私は唸った。
元太君に変装して、体の半分は穴に埋める。そしたら子供にも化けることができる。
「よーし、キッドは床下だ‼︎ 扉を開けてくれ‼︎」
「ウム、わかった!」
扉が開いて、警部や機動隊員がお堂の中から吐き出される。
彼らは闘牛のように勢いよく、元太君が押し込まれている方へと向かった。
ついで工藤新一や少年探偵団も駆け出していく。
「本当に子供に化けるとは……さすが快斗ーーいや怪盗キッド」
誰もいなくなったお堂の中を覗き込むと、元太君の変装を解き勝ち誇った笑みを浮かべているキザな泥棒がそこにいた。
「A。おめーには後で色々聞きてえことがあるからな?」
「あはは。……いや笑えねえ」
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匿名 - 初めまして。楽しく読まさせて頂いています。一つ尋ねたいのですが195話で言っていた「零」シリーズ?はどこに行ってしまったのでしょうか?読みたいのですが見当たらなく…もし公開していないのであればぜひ公開してほしいです。宜しくお願いします。 (2022年1月11日 19時) (レス) id: 0d9a3fa9b5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年6月26日 20時) (レス) id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
pandahero(プロフ) - もしこのサイトを開く機会があれば、またほかのサイトで書くことがありましたら、ぜひまた読ませてもらいたいと願うほど、本当に素敵な作品でした。ありがとうございます (2021年5月12日 12時) (レス) id: 6df71f9a53 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 本当にとても面白かったです!更新待ってます!!! (2020年8月5日 22時) (レス) id: 12db53baf5 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - ただの純愛じゃなくて、少しドロドロ?してて面白いです!組織がやってることブッ飛んでるな、とか思いつつ笑 快斗と主人公がこれからどうなるのか、組織にまたまた捕まってしまうのか展開が楽しみです!更新楽しみにしてます! (2020年5月28日 23時) (レス) id: 9f6637cdbb (このIDを非表示/違反報告)
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