第364話 ページ35
「機動隊さーん! 暇な人いませんかー!」
比較的ゆっくり歩いて警部を監 禁した部屋の前に到着する。摺り足差し足、忍び足といった風にかなりゆっくり歩いたつもりだ。もしかしたらお堂の中では事件を解き終わってるかもしれない、なんてね。
「誰か〜いませんか?」
ここら辺は誰も見張ってないらしく、足音はするのだがまだ誰もは来ない。
そりゃそうか。だからここに警部を隠したんだから……。
数分待ってようやく、機動隊の一人が目の前に現れた。
「あのう、ここの部屋、怪しくありません?」
「ここは確か……物置だったはず。怪しいとは?」
「えー! 警察の人なのに子供に言わせんですか!? 見るからに怪しいじゃないっすか!」
笑顔で煽ってみると流石に機動隊の人も気を悪くしたようで「あのねえ!」と声を荒げる。
私は笑顔を崩さないまま「とにかくこの部屋の扉ぶち破ってください!」と提案した。
きっと内心クソガキと思われているんだろうか。あはは。クソガキで結構。苦しゅうない。
「ぶち破るって……別に鍵がかかっているわけではないだろうし……ってあれ、開かない?」
「鍵がかかっているというよりはつっかえ棒がある感じのような気がして」
「確かに……もう少し人数が必要だな。おーい、誰かー!」
外から開かないようにするの結構大変だったなあ。もうあれも2時間くらい前のことかあ。
ようやく何人か集まって、扉をぶち破ってもらった。
部屋の中では縄とガムテーブでぐるぐる巻きにされた中森警部が眠っている。
「中森警部!?」
隊員の声で警部が目を覚ます。
数秒遠いところを見つめていたがすぐにハッとして「ワシはいったい!?」と慌てふためいた。
快斗そういやいつも以上に警部のことぐるぐる巻きにしてたなあ。
「待てよ……警部がここにいるってことは!」
「お堂の中にいる警部はーー怪盗キッド!?」
縄を解きながらようやく隊員たちが気づき始める。
警部もなんとなく事の次第を飲み込んだようで、体が自由になるとすぐにお堂の方に駆け出した。
……なんだか面白いことになりそうだな?
ついていくと本物の中森警部がまるで借金取りのようにお堂の扉をドンドン叩きながら「おーい、ワシだ! 中森だ‼︎ 扉を開けろ! 中にいるのはワシに化けているキッドだぞ‼︎」と叫んでいる。
中森警部のドンドンと叩く音は次第に大きく、そして力強くなっていく。
さて快斗ーーいや怪盗キッドはどうするんだろうか?
「よーし、扉を開けろ!」
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匿名 - 初めまして。楽しく読まさせて頂いています。一つ尋ねたいのですが195話で言っていた「零」シリーズ?はどこに行ってしまったのでしょうか?読みたいのですが見当たらなく…もし公開していないのであればぜひ公開してほしいです。宜しくお願いします。 (2022年1月11日 19時) (レス) id: 0d9a3fa9b5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年6月26日 20時) (レス) id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
pandahero(プロフ) - もしこのサイトを開く機会があれば、またほかのサイトで書くことがありましたら、ぜひまた読ませてもらいたいと願うほど、本当に素敵な作品でした。ありがとうございます (2021年5月12日 12時) (レス) id: 6df71f9a53 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 本当にとても面白かったです!更新待ってます!!! (2020年8月5日 22時) (レス) id: 12db53baf5 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - ただの純愛じゃなくて、少しドロドロ?してて面白いです!組織がやってることブッ飛んでるな、とか思いつつ笑 快斗と主人公がこれからどうなるのか、組織にまたまた捕まってしまうのか展開が楽しみです!更新楽しみにしてます! (2020年5月28日 23時) (レス) id: 9f6637cdbb (このIDを非表示/違反報告)
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