第３６３話 ページ34
「りょーかい。じゃまた後でね〜探偵さん」
軽く手を振ってお堂の入り口に足を向けた。
タイミングよく、先程まで見ていたテレビを車の中に回収するらしく、扉が開いている。
「あのぅ、私も出ていいですか？」
「……ああ。君は子供だし、キッドも変装できないだろうしね」
「そもそも麒麟の角が盗まれた時、この子はお堂の中にはいなかったし……」
「ありがとうございま〜す！」
軽くお辞儀をして、私はお堂を出る。
警部がーー快斗が不自然そうに私の方を見ていた気もするが(そりゃそうか)、鈴木相談役達と話している以上、止めてはこなかった。
さてどうしようか。
このまま警部を眠らせているところに一直線に行ってもいいし、適当にそこらへんをふらふら歩くだけでもいい。
江戸川コナン側につきたかったら前者で、黒羽快斗の味方でいたかったら後者だ。
工藤新一のファンだから前者でもいいし、怪盗キッドの手下だから後者でもいい。
どっちを選択しても物語的には大差ないんだろうけど、気持ちの問題。
私は誰を選ぼうかな？ と瞼を閉じてみる。
頭に浮かぶのはーー体が小さくなってしまった名探偵、ではなく。
マジックが得意な父親思いの高校生、の方だった。
「……かなわねえな、やっぱり」
敵わないのか、叶わないのか。
自分でもわからないまま、重い瞼を開けて足を動かす。
ちょっとだけムカついたので、ゆっくり中森警部を閉じ込めた部屋に向かう。
雨の上がった直後のこの匂いは、なんだか苦手だ。
＊ ＊
「ありがとうございま〜す！」と元気よくAがお堂から出て行くのを視界の端で追っていた。
急にお堂の中に入って来たかと思ったら名探偵や探偵団にちょっかいかけて、何をしに来たんだろうか。幼児化しているのも気になるし、終わったら拳銃の話をする予定だったのに、聞き出さなきゃいけないことが増えている。
まあ全部、終わったら、でいいのだけれど。
しかしあいつは俺の味方なのか、名探偵の側につくのかたまにわからない時がある。
何か考えての行動なのか、何も考えていないのか。どっちでもあって、どっちでもないんだろうけれど。だけどAと俺はいい関係なのは確かなハズ。
さてここから麒麟の角を持ってどう脱出するべきか、と少年探偵団の推理を聴きながら考える。
Aはおそらく中森警部を連れてくるだろうと、考えるとここに長居するのはいい選択ではない。
「そうよね？ 中森警部……いや……月下の奇術師さん？」
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匿名 - 初めまして。楽しく読まさせて頂いています。一つ尋ねたいのですが195話で言っていた「零」シリーズ？はどこに行ってしまったのでしょうか？読みたいのですが見当たらなく…もし公開していないのであればぜひ公開してほしいです。宜しくお願いします。 (2022年1月11日 19時) (
レス) id: 0d9a3fa9b5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年6月26日 20時) (レス) id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
pandahero(プロフ) - もしこのサイトを開く機会があれば、またほかのサイトで書くことがありましたら、ぜひまた読ませてもらいたいと願うほど、本当に素敵な作品でした。ありがとうございます (2021年5月12日 12時) (レス) id: 6df71f9a53 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 本当にとても面白かったです！更新待ってます!!! (2020年8月5日 22時) (レス) id: 12db53baf5 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - ただの純愛じゃなくて、少しドロドロ？してて面白いです！組織がやってることブッ飛んでるな、とか思いつつ笑 快斗と主人公がこれからどうなるのか、組織にまたまた捕まってしまうのか展開が楽しみです！更新楽しみにしてます！ (2020年5月28日 23時) (レス) id: 9f6637cdbb (このIDを非表示/違反報告)
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