第146話 探偵たちの鎮魂歌 編 ページ10
最近分かったことがある。
それは案外快斗さん――じゃなかった。快斗が子供だということ。
いや、以前からちゃんとわかってはいたつもりだったのだが。
なんというか、ここ最近分かっていたはずなのに、重々に思い知らされた。
【ああ、やっぱり彼はまだ17歳の高校二年生なんだ】と。
学校では天才だなんだともてはやされたり、『怪盗キッド』なんてやってるけど。
私はこの黒羽家の白い天井をぼんやり見つめながら改めて思った。
【彼はただの少年なんだ】と。
* *
この頃になってようやく気が付いたことがある。
それは存外Aが人間だということ。子供だということ。
別に前から知っていたが、なんというかこの頃結構……な。
なんと形容すればいいか、いろいろあって、いろいろ知った。
【Aは俺らと何の変りもない子供なんだ】と。
変な組織とつながりがあったり、よく分からない大道芸がお得意な彼女。
俺はこのオレンジ色の夕焼け空を呆然と眺めながら、心の中でつぶやく。
【きっと彼女はただの少女だ】と。
* *
別にだからどうって話じゃない。
だけどなんだって話しだ。
私は最初は彼が嫌いだった。
俺は最初は彼女が分からなかった。
私の好きな名探偵にそっくりなのがなんとなく苛立って。
俺のことを何でも知ってるかのような態度がウザったくて。
でも家族みたいって勝手に親近感がわいて。
青子でもない、ジイちゃんでもない、そんな『存在』がまぶしくて。
なんとなく悪戯して。
適当に弄んで。
手伝って。
心配して。
助けてほしくて。
助けたくて。
でもそれは遠い先の話で。
だけど絶対あいつを解放してやる。
そのころにはもう――
そうなったらいっそ――
【***、****。*****】
じゃあこれからもよろしく。
足引っ張るんじゃねーぞ。
大丈夫。
ああ、きっとな。
【***。***】
* *
「ただいま」
快斗が帰ってきた。今日は寺井さんも一緒らしい。
「おかえりなさい」
私はパソコンと睨めっこしながらぶっきらぼうにそういった。
というのもこの前の一件から外出を控えてるので……そのなんていうか、気が滅入ってるのだ。
「今日はどこに行くの――否、今日はどこに盗みに行くの? か」
私はわざとらしい台詞回してそう問いかける。
彼も彼とて似合わない気障な笑顔を浮かべて「深山美術館」と答えた。
そう、と返事すると手伝ってくれ、と彼。
外出、できるみたいです。
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イヲハ(プロフ) - 優さん» お久しぶりです、いつもコメントありがとうございます! こちらこそ、お読みいただき感謝です。 安定して更新できるようにしてけるように頑張りますのでどうぞこれからもよろしくお願いします。(*^_^*) (2017年11月8日 19時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 最近更新多くて嬉しみが溢れております。ありがとうございます。(´∀`*) (2017年11月8日 16時) (レス) id: 9f27e32488 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 蓮花さん» →ところなんですよね()。絶妙な距離感、頑張ります! お風呂はしんどいです笑。 頑張ります! ありがとうございます! 深夜&長文レス失礼しました。 (2017年10月28日 0時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 蓮花さん» コメントありがとうございます。壱から…! お読みいただき感謝です。台本書きではないのであまりこのサイトでは迎合される書き方ではないので、タイプとおっしゃって下さって大変光栄です。ありがとうございます! エロティック…押さえられるようにしなくてはって→ (2017年10月28日 0時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
蓮花(プロフ) - 初コメ失礼致します!!関連ランキングにて、此方の作品を発見しまして、一から全て読ませて頂きました。一言で言うと、どタイプですね。笑 何よりキッドとの絶妙な距離感だとか、少しエロティックな関係性が好きです() お風呂入らないの辛いですよね…頑張ってください!! (2017年10月26日 23時) (レス) id: dd254419fa (このIDを非表示/違反報告)
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