第１８３話 〜after ｄigression 編（？）〜 ページ48
「A……」
快斗は意味もなく、呼びかける。Aは部屋の隅の照明を眺めながら「何？」と返事をした。
服の中に這入っている快斗の手が動く。
「どこ触ってるの」
「どこだろうね」
はぐらかす快斗。Aは時折躰を反応させて、快斗から逃れようとした。
それが逆に快斗を煽情させる。
「逃げんなって」
「……分かった」
観念したように、Aは快斗に躰を預けた。
すると快斗はAに自分の方を向くように指示し、彼の腕の中に閉じ込めた。
段々と気温が温かくなるこの頃だが、夜は冷える。それをお互いの体で温めていく――
「ありがとう」
突如Aは礼を口にした。いつもと違うAに驚くも快斗は笑って頭を撫でる。
「どうした。急に」
「いや――」
――私の間合いに入ってくれてありがとう。
と、そんな消え入る声が聞こえたと思えば、快斗の首筋に鋭い痛みが走った。
首にはAの手が添えられていて、指先に上手く隠れるように一本の小さな針が忍んでいた。
「なっ……おま！」
「負けっぱなしは好きじゃなくて。これで一対一ですね？」
一瞬で立場が逆転する。Aは快斗の首筋に差し込んだ針をゆっくり抜く。
鮮血が少し垂れ、零れないようにAが指で掬った。
「何を……」
「少し薬が塗ってあります。いやなに、大丈夫です。命に別状はないです」
ただの睡眠導入薬と痺れ薬。抵抗するにも、今日の疲れと相まって快斗は意識を手放す。
覚えてろよ、と言い残して、怪盗は眠りについた。
「おやすみなさい？」
Aは指につけた快斗の血を舐め、幼児化を解除して怪盗を彼の部屋に運んだ。
すやすやと眠る表情は少年のそれであった。
快斗を布団に入れ、そしてAもそこに入り、何事もなかったかのように二人で深い眠りに落ちた――
＊ ＊
「久方ぶりです、千影様」
「久しぶりね。寺井。どう、まずは一杯」
カチン、とグラスを合わせる音。ここは寺井の店『ブルーパロット』。
寺井は快斗を家に届けた後、すぐに店を開いた。
「快斗坊ちゃまには会わなくていいのです？」
「いいのよ。きっと今日も横浜を右往左往しててお疲れだろうし」
千影はグラスに注がれたバーボンを少し飲み、カラカラと氷の音で遊ぶ。
さながら、宝石と戯れる怪盗の様。――寺井の眼に怪盗淑女の姿がフラッシュバックした。
「さて、本題よ。Aちゃんのこと。そしてあのサーカス団のこと」
千影は母親らしく、優しく笑う。
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イヲハ(プロフ) - 優さん» お久しぶりです、いつもコメントありがとうございます！ こちらこそ、お読みいただき感謝です。 安定して更新できるようにしてけるように頑張りますのでどうぞこれからもよろしくお願いします。(*^_^*) (2017年11月8日 19時) (
レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 最近更新多くて嬉しみが溢れております。ありがとうございます。(´∀`*) (2017年11月8日 16時) (レス) id: 9f27e32488 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 蓮花さん» →ところなんですよね（）。絶妙な距離感、頑張ります！ お風呂はしんどいです笑。 頑張ります！ ありがとうございます！ 深夜＆長文レス失礼しました。 (2017年10月28日 0時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 蓮花さん» コメントありがとうございます。壱から…！ お読みいただき感謝です。台本書きではないのであまりこのサイトでは迎合される書き方ではないので、タイプとおっしゃって下さって大変光栄です。ありがとうございます！ エロティック…押さえられるようにしなくてはって→ (2017年10月28日 0時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
蓮花(プロフ) - 初コメ失礼致します!!関連ランキングにて、此方の作品を発見しまして、一から全て読ませて頂きました。一言で言うと、どタイプですね。笑 何よりキッドとの絶妙な距離感だとか、少しエロティックな関係性が好きです() お風呂入らないの辛いですよね…頑張ってください!! (2017年10月26日 23時) (レス) id: dd254419fa (このIDを非表示/違反報告)
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