第180話 ページ45
『――タイマーは解除されました』
時計の長針が真上に来るほんの手前、音声がそう告げた。
終わりかぁ……と安堵したように西の名探偵が口から零した。
『ああ。これで終わりだ』
工藤新一は画面に表示されたIDベルトをクリックする。
ほどなくしてIDオフと表示が変わったので解除されたのだろう。
『流石は名探偵』
快斗はフッと笑う。そしてわざとらしく足音を鳴らしてその場から立ち去ったようだ。
私は伊東の部屋をハッキングしていたパソコンのマイクがオフになってるのを再度確認してから。
「お疲れ様でした」と快斗に告げた。快斗からの返事はなかった。
22時を回って暫くしてから、画面を見ると、IDの位置を示すランプは一か所に集っていた。
恐らく警察がちゃんと回収したのだろう。ならこのハッキングももういいか――
――待て。私は硬直する。一か所に集まっているハズのIDのランプは8個しかない?
回収しなければならないIDは9つ。一つ――ない!?
「快斗! IDが一つ足りない!」
考えるのと同時に快斗に告げる。快斗は私のように慌てることなく、静かに驚く。
そして急に走り出す。
『どういうことだ? いや訳はいい。とにかくそのあと一つのIDはどこに?』
私は画面の嘗め回すように見る。ここでもない、違う。どこだ――あった! このIDは小島元太?
「見つけた! 子供がつけてる」
『そっちから解除できないのか?』
「いまやってる! でも無理そう」
リセット直後だ。動作が遅い。それにタイマーも無線LAN経由でようやく解除できたのだから、エリア設定解除もここからできるという保証は0に近い。
インカムの向こうからは階段を上る音が聞こえてきた。快斗は何をするつもりだ――?
『アイツら……スーパースネーク乗るって言ってたんだ』
「あれは、確かエリア外に……!」
『見えた! っ! クソ、もう乗ってやがる……』
バンと派手にドアを開ける音。快斗はさっきのレストランの屋上から皆を見つけたのだろう。
私はようやくミラクルランドの防犯カメラから皆を視界にとらえた。
スーパースネークはゆっくりと上昇しはじめる。
まだ皆は気が付いていない――んだな。
『A! アレのコントロールを奪えるか!?』
「そんなことしたら事故を起こすかもしれない」
私は思ったことをそのまま口に出した。できないことは無いが、逆走なんかさせたら駄目だし――。
逡巡する私に快斗は低い声でこういった。
『命令だ。A、コントロールを奪え』
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イヲハ(プロフ) - 優さん» お久しぶりです、いつもコメントありがとうございます! こちらこそ、お読みいただき感謝です。 安定して更新できるようにしてけるように頑張りますのでどうぞこれからもよろしくお願いします。(*^_^*) (2017年11月8日 19時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 最近更新多くて嬉しみが溢れております。ありがとうございます。(´∀`*) (2017年11月8日 16時) (レス) id: 9f27e32488 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 蓮花さん» →ところなんですよね()。絶妙な距離感、頑張ります! お風呂はしんどいです笑。 頑張ります! ありがとうございます! 深夜&長文レス失礼しました。 (2017年10月28日 0時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 蓮花さん» コメントありがとうございます。壱から…! お読みいただき感謝です。台本書きではないのであまりこのサイトでは迎合される書き方ではないので、タイプとおっしゃって下さって大変光栄です。ありがとうございます! エロティック…押さえられるようにしなくてはって→ (2017年10月28日 0時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
蓮花(プロフ) - 初コメ失礼致します!!関連ランキングにて、此方の作品を発見しまして、一から全て読ませて頂きました。一言で言うと、どタイプですね。笑 何よりキッドとの絶妙な距離感だとか、少しエロティックな関係性が好きです() お風呂入らないの辛いですよね…頑張ってください!! (2017年10月26日 23時) (レス) id: dd254419fa (このIDを非表示/違反報告)
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