【怪盗キッド】奇術師と道化師 肆

第１７４話 ページ39

「いやーにしてもやりすぎた？ ま、いいや」

少々情報を抜きすぎたかもしれない。これは少し選別するのに時間がかかりそう。
私はミラクルランドをハッキングしている方の情報と照らし合わせながら、使えそうな情報を探った。

どうやら、ミラクルランド自体はハッキングしなくていいな。
動作も重いし、このホテルのスイートの部屋部分だけで良さそうだ。

「ええと、このモニターの……。あれ、この部屋にはもう一台？」

一人になってしまうと喋りながら作業をしてしまうのが私の悪い癖。
犯人の手元付近にももう一台パソコンがあるらしい。……ってこれ。

「もしかしてIDの爆弾解除できるくない？」

私はさっきとは打って変わって、恐る恐るキーボードを叩く。
これできちゃったらもう探偵たち必要なくないか？ でもあの人たちは最後まで事件を解くんだろうけども。

「……パスワード？」

ちょっとノーヒントじゃ無理がある。いやでも飛行機の時はうまくいったよな。
……やめとこう。それより情報収集しよ。

『――おい、A』
「うわっ死ぬかと思った」

急に起動させられたら驚くわ。ってか白馬さんの声でしゃべるのかい次は。
そういえば私白馬さんの事『シロウマタン』って呼んでたね。
しかもパソコンハッキングしたよね……あれしてないっけ。

『伊藤末彦について何か情報はないか？』
「イトウ……あっIDの現在情報が集まる部屋を貸し切ってる人です」

そう答えると少し間が開いた。ごくり、と快斗が唾を呑む音が聞こえる。

『え、ソイツ今回の件の犯人確定じゃねーか』
「そうですね。解決しちゃった……」

また沈黙が生まれる前に、じゃなくて、その警察が掴んだ情報、と言われる。
とても驚いているのか、快斗の声に戻っている。

「んーと。４月の現金輸送車襲撃事件の犯人として指名手配されてるね」
『……！ ソイツが俺をしつこくねらってる犯人か』
「あとは――あ、話すと長くなるからやっぱり携帯の方に送るよ」

参考になりそうな所をまとめてメールの方に送る。
快斗はすぐ確認するとなるほどねえ、と意味ありげに呟いた。

『これはちゃんと警察が調べた情報なんだよな？』
「そうですよ」
『ならオッケーだ。このファーストなんちゃらの事件の方も纏めて携帯に送ってくれ』

私は了解と言い、今度はこちらから通信を切った。
なんだか喋りすぎたようで喉が痛い。

んんっと咳払いをし、飲み物を取りに行く。
パソコンを見過ぎて少し頭も痛い、気がする。

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