第８９話 ページ47
「どうしたの、君？」
「え、いや……」
解毒が切れた。つまりまた小学校高学年くらいの身長――138�僂両�柄な少女に『為って』しまった。
どうもこの体になった直後は貧血のような症状が現れる。
だからしゃがみこんでいたのだが、通りすがりの一般客に見つかってしまった。
一人子供がしゃがみこんでいれば、声をかけるのは道徳のある人間の当たり前の行動だ。
「大丈夫？ お母さんとかは？」
「えっと……」
この時間帯の飛行機に子供が一人で乗ってるわけがない。
そうだよな……どうやって弁解するべきか。
それとも逆にダンマリって手もある。でもそれだと余計立場を悪くしそうだ。
「あ……あの――」
お母さんがまだ機内にいるんでここで待っているんです、という至極適当なことを言おうとした時だった。
前方から一人の見知らぬ青年が走ってきた。
「――A！ もうすぐ病院に連れてってくれるらしいぞ。もう大丈夫だからな」
その見知らぬ青年は私をひょいっとおんぶし辺りの人に笑いかけた。
「妹がご迷惑をおかけしました……この子、脱出の時に変な滑り方しちゃったみたいで」
すると一般客らは「そうなんですか」と納得して私に「お大事に」と立ち去っていった。
一般客らが私たちから完全に離れたところで、見知らぬ青年は私を下ろした。
ああ、快斗さんか。この見知らぬ青年。
「大丈夫か？ A」
「見てのとーり、無事ですよ。そういう快斗さんは？」
「ちょっと左腕がな……でもまあ最悪で打撲ってトコロだろうし、大丈夫だ」
彼は裾を捲り、自信の左腕をまじまじと見つめた。
少し青紫色に腫れ上がっている部分があるので、医療機関の受診をおすすめしたい。
「それよりも、この場から離れないとっ……ほらあそこに警部もいるし」
「そうですね。とりあえず変装して事情聴取を抜けないと」
「事情聴取？ そんなんやったら俺達の正体バレんだろ。こっちだ」
彼はぶっきらぼうにそう言いながら私の手をぐい、と強く引いた。
そして――走り出す。
「マジックショーの撤収は素早く・時間をかけず・手際よくがモットーだぜ。サーカスは違うのか？」
タタタと静かに足音を立てながら彼は小気味よい表情で言った。
私は、少し口角を上げて。
「そんなモットー知りませんよ」
と突っ込んだ。
まだ辺りには警察やらがわんさかいる。
バレないように、気づかれないように、私たちは、埠頭を抜けた。
辺りは暗くまだ秋だというのに肌寒かった。
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レモン - 楽しく読ませていただいてます！特に、66の怪盗＆探偵の言い回しが好きです！ (2020年7月30日 19時) (
レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます！イヲハさん、神ですね！(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですｗ。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか？私は大好きです！でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです！ (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです！ (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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