第80話 ページ38
「江戸川君……」
客室乗務員からのサービスを断った後、すぐに灰原は俺にしか聞こえないような声で俺を呼んだ。
さっきまでいつもの無愛想な表情を浮かべていた灰原だったが、一変して何かを恐れているような緊迫した表情になっていた。
目を大きく開き、鼓動の音が俺にも聞こえる気がする。
――まるで黒の組織のメンバーとあっている時みたいだった。
「どうした、灰原?」
「いるわ……彼らの気配がする」
「!」
俺の予感はどうやら的中したようだった。
怪盗キッドの犯行に警戒しなければならないのに、黒の組織にも警戒しなくてはならないのか!
「どういうことだ? 今まで気配は感じていなかったんだろう?」
「ええ……急に感じたのよ」
今まで感じなかったということは牧さん達は全員関係ないと断定していいだろう。
となると、今この瞬間俺たちに接触したのは……。
「さっきの客室乗務員か?」
「かもしれないわね……」
――あの客室乗務員、もしかしたらベルモットかもしれない。
俺の頭にそんな考えがよぎった。
「ベルモットかもな」
「それはないわ。ベルモットにしては気配が弱すぎるもの……別の組織のメンバーかも」
「……俺たちに気づいてないことを祈ろうぜ」
「もちろんよ」
危険度的には今はキッドの方が優先だ。
黒の組織の方はなんとかやり過ごそう。
* *
「洋菓子と和菓子、どちらになさいます?」
最後の一人はなんの偶然か、新庄さんだった。
つまり快斗さん。
「洋菓子で――っていうかお前、Aか?」
「およ? ばれてたんですね」
何だばれていたのかよ〜。つまんねな〜。と思いつつ洋菓子を快斗さんに提供した。
「やめだ」
「え?」
私はワゴンに身を隠して、周りの人にばれないように快斗さんに質問する。
「やめってどういうことですか」
「あれ偽物だ。損した気分だな〜」
彼はもう興味がないようだった。
そりゃそうですよね。
「でもよ? 探偵君がおめーのことじっと見ていたぜ。気ぃ付けた方がいいかもな」
「まじっすか、もしかして相思相愛?」
「勘違いも甚だしいな」
「いや冗談ですよ……まあ気ぃ付けるのは快斗さんの方でしょ」
そうだな、と彼は適当に返事をし、洋菓子を口に放り込んだ。
なんだ、偽物だったのか。
偽物だとしたらすごい精巧に造られたんだな。
――そうか。
宝石がキッドによって盗まれて偽物と公表されればやばいから毛利探偵の所にいったのね。
成程と一人納得した。
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レモン - 楽しく読ませていただいてます!特に、66の怪盗&探偵の言い回しが好きです! (2020年7月30日 19時) (レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます!イヲハさん、神ですね!(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですw。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか?私は大好きです!でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです! (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです! (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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