第78話 ページ36
東京都大田区羽田空港。
三連休の中日だが、人は決して疎らではなくそれなりにいる国内線ターミナル。
私達はスカイジャパン航空18:15発函館空港行の搭乗手続きを終えて8番搭乗口付近のトイレに身をひそめていた。
「あと30分で搭乗できますね。そろそろ私は行かないと……」
「ああ、あとは手筈通りによろしくな。何かあったら俺の方からコンタクトとるから……まあ頑張ってくれ」
今回は今までの仕事とは違い携帯電話やインカムは使えない。
そして航空機内である以上――搭乗手続きを受けた以上、トランプ銃やナイフなどの凶器は勿論持ち込めない。
我が(以下略)の腕時計型麻酔銃とかは没収されなさそうなので、厄介である。
でもそんな危機的状況をひっくり返すのが怪盗キッドだからなあ。
『まあ頑張ってくれ』はどちらかと言えば私の台詞だ。
「じゃ、行ってきます」
「そのカッコで行くのか?」
指摘されて初めて気づく。まだ19歳の姿になってなかった。
やばいやばい。
「お、お願いし」
――言い終わる前に、彼は唇を重ねた。
大目に見積もって3時間分だから……長めのキスになるのかな。
前回のキスの件があれだからなんか意識してしまう。
よく見なくても快斗さんてイケメンさんだしさ。
我が愛(以下略)にそっくりだしさ。
そもそもいくら外国育ちだからつったって、キスし慣れてるって言ったって。
……なんだか言葉に言い表せない感情が渦巻いてくるんだよ。
「――は、こんくらいで大丈夫か?」
「多分……」
随分長かったので少々酸欠気味だ。頭がくらくらする。
もしかして別の理由があるのかもしれないけども。
「じゃあ今度こそ行ってきます」
「気ぃ付けてな」
「お互い様です」
スカイジャパン航空の客室乗務員の制服を身に纏い、髪を適当にセットし私はこのトイレを後にした。
天気予報を見ると、函館は雨だった。
何もなきゃあいいんだけどね……。
* *
「すご〜い! フカフカだぁ!」
搭乗手続きもほとんど終わり、毛利探偵と愉快な仲間たちも機内に乗り込んできた。
本当に樹里さんは端役の連中を連れてこなかった。
それでも、この小学生たちは連れてくるんだな、と心の中で少し呆れた。
「!」
――江戸川コナンの隣の席。
赤みがかかったウェーブ状の茶髪の女の子?
どこかで見たような……気のせいか。
まあ今は仕事優先だから。
その子に関してはまたゆっくりと思いだそう。
≪業務連絡です……乗務員は……≫
さあ集中集中
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レモン - 楽しく読ませていただいてます!特に、66の怪盗&探偵の言い回しが好きです! (2020年7月30日 19時) (レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます!イヲハさん、神ですね!(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですw。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか?私は大好きです!でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです! (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです! (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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