第77話 ページ35
「にしても今回はタイミングが悪かったです。快斗さんにはスターサファイアの方に集中してもらいたかったのに」
Aは嘆息気味にそう言った。
でも一方で、そうなることが分かっていたように言った様にも聞こえた。
Aがあんなに『工藤新一に変装するな』と俺に警告したのはそういうことだったのかと理解する。
納得はしないけど。
「ま、俺にはよくわっかんないけど……なんつーかおっかねえなその組織」
「さてはて、パンドラを狙っている組織とどっちがおっかないでしょうか?」
そんなことを言って話をはぐらかされた。
きっとAはこの話をもうしたくないんだろうな、と察する。
でも、まあ――
* *
「――ありがとよ」
「え?」
私は快斗さんからの唐突な感謝に素で聞き返してしまった。
え? ありがとう?
お礼を言われる筋などあったのだろうか。
ここは全力で怒られるかと思った。
だって、ただでさえパンドラを狙う組織に命を狙われているのだというのに、黒の組織にまで命を狙われるとなれば、たまったもんじゃないだろう。
黒の組織に狙われるのは私の所為かどうかと言われれば判断しかねるが。
私の所為ではない、とは言い切れないので。
「え、てなんだよ……。素直じゃねーな」
「あ、いやあ、感謝される筋合いないと思うんですけども」
すると快斗さんは一瞬きょとん、としてそのあとすぐに笑い、「お前ってやっぱ変わったやつだよな」と言った。
「じゃ、この話はまた今度ゆっくり聞かせて貰うよ。で、明日の話」
「えっと飛行機のチケットは一応6枚おさえましたよ?」
「何で6枚?」
「1階席3枚、2階席3枚です」
ちなみにチケット代は私持ち。
流石にこのナリでも社会人だし、裏社会にも通じるのでお金はたんまり持っている。
快斗さんには言わないけど。
「じゃー次、お前は誰に変装するんだ?」
「一般客か客室乗務員ですね。だって私、レギュラーキャラに変装するほど変装力高くないと思うんです」
「メタ発言はやめろ」
てへ、とわざとらしく照れてから、少し黙る。
客室乗務員なら何とかいけそうな気がしてきたから、今日徹夜でお勉強しようそうしよう。
というか、私がついていかなくてもいい気がしてきたけど『工藤新一VS黒羽快斗』の夢のカードを個人的にみたいのでついていくことにする。
――なんやかんやでこの後、40分くらい明日のことについて話し合った。
なかなか明日が楽しみである。
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レモン - 楽しく読ませていただいてます!特に、66の怪盗&探偵の言い回しが好きです! (2020年7月30日 19時) (レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます!イヲハさん、神ですね!(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですw。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか?私は大好きです!でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです! (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです! (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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