第７０話 ページ28
「もうっ。快斗もお父さんもぜーんぜん帰ってこないんだから！」
快斗は今日はちょっと用事があるって言って連絡は全然取れないし。
お父さんは事件があるから今日の晩御飯は要らないって言うし。
「二人とも自分勝手すぎるわよ！ だいたい、いつも誰がご飯作ってあげてるのかわかってるのかな〜!!」
そんな風に叫んでも、誰もいないこの家に空しく木霊するだけだった。
はあ、と青子は溜息をついてテレビの電源を付ける。
その時、ピンポーンとインターフォンが鳴った。
快斗かな？ お父さんかな？
どっちにしたって青子が叱ってやるんだから!!
＊ ＊
「青子ー、今日の飯なんだ？」
俺は図々しく訊く。
すると青子はぷうっと頬を膨らませてから。
「何よぉ、その態度！ だいたいねえ快斗は青子に養ってもらってるんでしょ？ もっと感謝しなさいよ!!」
「そうプリプリすんなって。はいはい、いつもおめーには感謝してますよっと」
「プリプリなんかしてないし！ 全然棒読みじゃない！」
む〜と青子は漫画のキャラみたいに怒った。
その子供っぽいところが可愛いところで――まあ好きなところで。
「今日はカレーよ」
「またカレーかよ」
つっこみつつも、俺は配膳されたカレーをすぐ頬張った。
中森家のカレーはいつも中辛。まあ普通においしい。いつも通りの味。
「だって、快斗もお父さんも帰ってくる時間バラバラなんだもん!! それにカレーなら明日の夜までもつでしょ？」
「あ、明日の夜はいらねえーや。っていうか次学校行くまでは朝昼晩全部いらねー」
「え？」
青子は不審そうな目で俺を見る。
やばっ……なんか弁解しなきゃ。
「母さんとジイちゃんと出かけるんだよ」
すると青子は納得したようで「じゃあ、お土産よろしくね」なんて調子にのりやがった。
俺はへいへいと生返事をしておかわりを要求する。
「どこに行くの？」
青子は自分の分と俺のおかわりの分をよそって、カレーを食べながら訊く。
「まだ決まってねえよ」
付け合せのサラダを食べながら適当に答える。
「函館、とかじゃないよね？」
思わず「え」と声が出そうになるがカレーと一緒に呑み込み「ちげーよ」と否定する。
「だよね。さっきお父さんから『怪盗キッドを捕まえるために明日から函館に行く』ってメールきたからさ……」
青子は切なげに言う。
でもすぐ調子を取り戻して「まあ快斗がキッドなわけないもんね！」なんて言う。
こりゃ当分ばれる心配性はねーな。
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レモン - 楽しく読ませていただいてます！特に、66の怪盗＆探偵の言い回しが好きです！ (2020年7月30日 19時) (
レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます！イヲハさん、神ですね！(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですｗ。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか？私は大好きです！でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです！ (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです！ (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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