第67話 ページ25
「はっ!?」
俺は驚いた、単純に驚いた。
いや驚いている暇なんてない、反射的にハンググライダーをだし落ちていく探偵を救出に向かう。
まさか、よろけて落っこちるとは思わなかった。
これじゃあ怪盗キッドが人殺しになっちまう……!
うわああああああ!! という探偵の悲鳴が聞こえた。
俺は頭を下にしてまっさかさまに探偵の後を追うように落下する。
間に合うか……――ってあれ?
降下していた探偵は何故か腕時計を構えた。
あの腕時計は麻酔銃が出てくる――まさか!?
考えた時には遅かった。
探偵はあろうことか降下しながら俺に標準を合わせ麻酔銃を撃った!
無理やり体を傾け何とか、麻酔針を回避に成功した。
あぶねえ、まじであぶねえ。
あのまま針が俺に刺さってたらおねんねして死んじまうぞ?
「快斗さーん、そのまま落っこちで死んでもよかったのに」
「何言ってんだおめぇ! っていうかどっから見てんだよ!」
Aは笑いながら言っていた。あとで殴ろう。
探偵は「くっ!!」と麻酔針が外れたことを悔しがったあと、仰向けの状態からひっくり返り腕を大きく広げた。
こいつも悔しがってんだ。
ひでぇ奴らだなあと思い「おいおい……」と呆れる声が漏れる。
俺が呆れていると探偵はリュックサックに手をかけ何かをグイッと引っ張った。
するとリュックサックから黄色い布が夜景を塗りつぶすかのように大きく広がった。
何だあれ――ああ、パラグライダーか?
「ハンググライダーにはパラグライダーってワケね……」
これで条件は五分だ。
俺はやや右方向に旋回し、ビルの合間を縫いながら逃走する。
速度はハンググライダーの俺の方が上だが、探偵はそんなのも気にせず俺にぴったり張り付いてくる。
右を見ても左を見ても、ビルだらけの東京都心沿岸部。
このまま地面に着地してもよかったがそんなことしたってこの探偵君は出し抜けない。
何か虚を突かなきゃなあ。
東京……沿岸……、汐留……?
ああ、そうだ! 『アレ』があるじゃないか。
「A! どっから知らねーけど俺たちのこと見てんだろ!」
「見てますよー、ストーカーみたいに」
「今俺らが飛んでいる場所から誘導してほしい場所があるんだ」
「5秒待ってください」
誘導してほしい場所を告げる前にAはルート検索を始めたようだった。
もしかして、同じこと考えてたのか?
「前方に見える赤いビルを左に曲がって全面ガラス張りのビルと右手に見ながら真っ直ぐです!」
「りょーかい!!」
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レモン - 楽しく読ませていただいてます!特に、66の怪盗&探偵の言い回しが好きです! (2020年7月30日 19時) (レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます!イヲハさん、神ですね!(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですw。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか?私は大好きです!でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです! (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです! (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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