第６１話 ページ19
「と言うとじゃあ我が以下略は『ジョゼフィーヌ』の舞台中に盗むって推理したんですか」
「ああそうだよ、あの名探偵も大したことねーな」
ケケケと彼は三枚目のような笑いをしてからすぐ真顔に戻り「いいこと思いついたんだ」と続ける。
「わざと予告通り、今日『宇宙』に行って犯行を失敗したように見せかけるんだ。そしたら明日は警戒もとかれてもっと盗み出しやすくなるだろうしな」
「中々面白いですね。でも舞台中に盗むなんて無理っぽくないですか？」
私はぐちぐちと文句のように言う。
「グリーンドリームの時はドアは開閉式だったし、結構前から下準備もしていてあとチケットも取れたから潜入できたものの……もう『ジョゼフィーヌ』のチケットなんて取れませんよ。それとも警察官に扮装するんですか？ 中森警部に顔引っ張られる覚悟で？」
自分で言うのもあれだが、結構早口だった。
快斗さんは私の話を右から左へざっと流しつつも「甘いねえ、A君」と嘲笑った。
そして彼はあたかも探偵のような口調で自分の案を語る。
「『ジョゼフィーヌ』のチケットがもう取れないのは百も承知。だからと言って普通の客や警察に変装しても中森警部や名探偵君に見破られてしまう。ならどうするか、答えは簡単――変装せずに潜入する」
「はあ？」
彼はまだ続けそうだったが私は無理やり言葉をねじ込んだ。
快斗さんが何言ってるか分からなかった――否！
予想はできた、想像はできた、これから彼がどうやって潜入するのか。
分かった気がしたが認めたくなかった。
私の横やりに気にせず快斗さんは続ける。
「って言っても？ 中森警部に俺の顔は割れている。でもこの顔のままで潜入しても不思議がられないで寧ろ逆に歓迎される方法が一つだけある」
私の予感が的中しつつある。やめろ、やめてくれ、嫌な予感しかしない。
彼は癖のある髪の毛を少し丁寧にまとめ声のトーンをほんの少し下げて言った。
「『工藤新一』になって捜査協力をするっていう名目でな」
＊ ＊
「うわあああああああああああ！？」
俺が『工藤新一』に変装した瞬間、Aは奇声に近い悲鳴を上げた。
てっきり黄色い声を出すのかと思えば、Aは一人で崩れ落ちた。
「ダメダメ！ 絶対ダメ！ それはダメ！ 何が何でもダメッ!!」
Aにしては珍しく駄々を捏ねる子供のような声で叫ぶ。
俺はそれを一蹴する。
「おめーにダメって言われようとやるよ、だってこれが一番の案だからな！」
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レモン - 楽しく読ませていただいてます！特に、66の怪盗＆探偵の言い回しが好きです！ (2020年7月30日 19時) (
レス) id: 91878b848e (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - ありがとうございます！イヲハさん、神ですね！(泣) (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 欠月さん» コメントありがとうございます。私はバーボンの方が好きですｗ。赤井さんはちょっと完璧すぎるので…。赤井さん派多いですよね……。この作品にもちょいちょいバーボンを出せるように頑張ります。 (2017年4月16日 21時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - イヲハさんもバーボン好きですか？私は大好きです！でもでも、友達みーんな赤井派なので、イヲハさんがバーボン派で良かったです！ (2017年4月16日 17時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます。そうなんですか……コナン好きは多いと思うのですが汗 楽しんで頂けたら何よりです！ (2017年4月9日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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