第8話 ページ10
「変わったやつだな……おめー」
「もっと『工藤新一』さんっぽく言ってください」
「あの名探偵のファンか何かか?」
「それは追々。さ、早く縛り上げてくれてもかまいませんのよ〜。手錠ももってきましたし」
自尊心は多分どこかにおいてきた。元からないかもね。
「前言撤回だ、変わったやつじゃなくてただの変態じゃねーか!」
「変態じゃないですよ! 変人です!」
それは認めるのか、と言わんばかりの顔をしていた。
すると彼は自分の服の裾を引っ張り上げ、お得意の早着替えをやってのけた。
Tシャツに短パンの、そんじょそこらの男子高生スタイルから――帝丹高校のブレザー服に変化する。
緑のネクタイをスルリと慣れた手つきで結び、ぼさぼさの髪をささっとセットする。
「これで満足ですか。A嬢」
してやったりのような彼の表情。
こうやって服や髪形を変えるだけで新一さんと瓜二つだ。似すぎで怖い。
でも私はいじり倒したくなったのでこういった。
「『工藤新一』さんらしさが足りません。それでも変装の名人ですか?」
カチンと彼の頭に怒りのマークが見えた気がした。
奥歯をぎりっとかみしめて、眉にしわが寄っている。
「おめー言いたい放題やりたい放題過ぎるだろ! ちょっとは身の程ってのをなぁ」
「あー大変だ16時過ぎてますよ〜」
「な゛ぁっ!?」
その悲鳴みたいな驚きには私も驚いた。
「やっべぇ―! あーもう、てめーに構うのは後だ後! とりあえず今日の仕事をっ!」
帝丹高校のブレザーを脱ぎ捨て、適当な私服にまた早着替えして、荷物を持って彼は玄関下と急ぐ。
「私のことはいいんですか〜?」
「てめーはテレビの前でじっとしてろ! そっから一歩も動くんじゃねーぞ!」
「どうしよっかな〜」
にやにやといやらしい表情を浮かべる私を彼は一瞥し、ドヤ顔のような顔つきで何かを言った。
ちょっとたまたま偶然聞こえなかったので聞き返す。「え、なんですか?」
「どーやら今日の仕事は日売テレビで独占生中継らしいからよぉー」
「知ってます」
「ちょいと予定とは違うが今回の仕事は『工藤新一』に化けてやるとすっか」
私はキランと瞳を輝かせる。
「Seriously?」
「おーYES。今の適当な変装とは比べ物になんねー『工藤新一』見せてやるよ!」
「じゃあすっごいとてもめっちゃくちゃありえないくらい楽しみにしてますよ、ドロボーさん?」
「日本語へったくそなのかよ、平仮名多過ぎ……」
呆れる彼を私は笑顔で見送った。
「頑張れ〜」
- 金 運: ★☆☆☆☆
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ふ。 - ?「私はこの人を信用しているし信頼しています」でも尊敬はしていません!」 (4月14日 21時) (レス) id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜さん» お気遣い心から感謝申し上げます! 桜さんも健康にはくれぐれもご留意ください。 (2018年3月7日 1時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いえいえ!私の方こそ指摘したくせに間違えていたらどうしようかとヒヤヒヤしておりました(`・ω・´ )。最近日によって気温の寒暖差が大きいのでお体にお気を付けて下さいね。 (2018年3月6日 22時) (レス) id: ee608e2089 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます。返信遅くなって申し訳ありません。おっしゃる通りです、3年近くずっと気が付きませんでした……。ご指摘ありがとうございます。修正いたします。 (2018年3月6日 22時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 突然すみません。conjurer and ciown の「ciown」がもし「ピエロ」という意味ならば「clown」ではないでしょうか? (2018年3月4日 1時) (レス) id: ee608e2089 (このIDを非表示/違反報告)
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