第42話 ページ47
それから何時間経っただろうか。
月はさっきよりも天高く、星はさっきよりも綺麗に瞬いている。
白衣を着た科学者と。
黒に染まった悪魔と。
――実験体の自分。
ラノベでも書けそうなこの状況。
だけどこれは紛れも無い現実で。
私の日常はもっと非日常の異常なんだ。
* *
「――っ」
気づくとまた車に居た。
後部座席に寝かされていて運転席にはバーボン、助手席にはベルモット。
「どう、目覚めは?」
私が起きたのを気づいたベルモットが話しかけてくる。
その返答を考えようと思った刹那、全身に痛みが走った。
「ったぁ!」
柄にもなく、声を出して私が痛がるとベルモットは――笑った。
「残念ながら鎮痛剤が切れちゃったみたいね、数日はその痛みに耐えなきゃ」
彼女は笑っているが、それは冷ややかで、強かな卑しい嗤い。――虫酸が走る。
奥歯を噛み締め、彼女に楯突こうとした時、誰かの携帯が鳴った。
私のじゃない、バーボンのでもないらしい。
じゃあベルモットのだ。
「車を路肩につけてくれない?」
「僕たちには聞かれたくないんですか?」
「うるさいわね、早く」
この二人の関係はなんなんだろう、協力関係?
それとも――
考えていると、バーボンは車を止め、ベルモットが車の外に出て行った。
誰からの電話だろうな。
目線を泳がしているとミラー越しにバーボンと目が合ってしまった。
「君はそんなに若いのに組織のメンバーなんだね」
彼はにこっと笑って私に問いかける。
優しい口調と笑顔、怖いな。
「メンバーってわけじゃない……ですよ」
敬語じゃなくていいよ、と彼は言い「いつから組織のメンバーなんだい?」と質問を続けた。
――答えちゃいけない質問だな、こっから先全部。
「ベルモットに聞けばいいんじゃない」
「関係ないけど日本語上手だね、君」
「そのままそっくり返す」
「僕は日本人ですよ。それに――」
また新たな質問が降りかかる前にベルモットが帰ってきた。
このバーボンって人、よく喋る人なんだろうな。
「悪い知らせよ、バーバラ」
「何が」
「『例の子』の今日の犯行は失敗したそうよ」
「は?」
意味わかんねえ。
まあきっと快斗さんはパンドラじゃないことを確信して上手い事やったんだろうけど、ベルモットがその事を知ってる、ということが意味わかんねえ。
「それより二人で何話してたのかしら」
「コードネームが似てる、って話ですよ」
夜の闇がより深くなる。
どうやらこのドライブはまだ終わらないらしい。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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ふ。 - ?「私はこの人を信用しているし信頼しています」でも尊敬はしていません!」 (4月14日 21時) (レス) id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜さん» お気遣い心から感謝申し上げます! 桜さんも健康にはくれぐれもご留意ください。 (2018年3月7日 1時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いえいえ!私の方こそ指摘したくせに間違えていたらどうしようかとヒヤヒヤしておりました(`・ω・´ )。最近日によって気温の寒暖差が大きいのでお体にお気を付けて下さいね。 (2018年3月6日 22時) (レス) id: ee608e2089 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます。返信遅くなって申し訳ありません。おっしゃる通りです、3年近くずっと気が付きませんでした……。ご指摘ありがとうございます。修正いたします。 (2018年3月6日 22時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 突然すみません。conjurer and ciown の「ciown」がもし「ピエロ」という意味ならば「clown」ではないでしょうか? (2018年3月4日 1時) (レス) id: ee608e2089 (このIDを非表示/違反報告)
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