第30話 ページ35
「無礼をお許し頂きたい……とね」
アナウンサーの唐突なインタビューに対しキザな台詞回しができるのは流石だなと感じた。
しかしその瞬間――ビリビリと布が破ける音が交差点の四方から聞こえてきた。
そして観客たちの普通の悲鳴が聞こえてくる。
布――ではなく網。
網はビルに沿ってぐんぐん上昇し、あっという間に交差点を仕切ってしまった。
「網です！」
ビルの上にいるアナウンサーっていうか報道陣はさらに釘付けになる。
私はタイミングを計らってその場を抜け出し快斗さんが指定した位置に一目散に駆け出す。
足音は出ないように。
「そりゃまあ仕事が済んだので家に帰ろうかと」
「ど、どうやって」
「テレポーテーションで」
キッドが『テレポーテーション』とほざいたらすぐさままた観衆が騒ぎ出す。
「ではまた、10数秒後に時空を超えた先でお会いしましょう」
キメ台詞を言ったあと煙幕とともに姿を消した怪盗キッド。
観衆はどよめきながらも期待を寄せていた。
私はビルの柵を越え滑車をしかけ安全を確認し、垂れ幕の上に立ち、キッドの指示を待つ。
「A準備はいいか？」
インカムから少し息を上げながらの快斗さんの声が聞こえた。
「OKですよ」
「俺の方もいけるぜ……お、宝石は片方は偽物で発信機までつけてやがる」
「カードに張り付けたらどうですか、目くらましにもなりますよ」
「その案いただき、じゃあ始めてくれ」
「行きますよっ！」
私は砂袋を抱え垂れ幕の中にダイブする。
なんかバンジージャンプみたいだけど、空中ブランコの稽古の時にこんなことやった気がするなと思い出に浸りながらみるみる私は下降していく。
私が下がれば快斗さんは上へ上へと昇っていく。
「まずは1発目、2発目、3発目！」
快斗さんが3枚目のキッドカードを打ったと同時に私は地面に着地した。
観衆はキッドカードをゲットした人に目がいっているので、私には誰も気づかない。
「ONE！」
観衆の誰かが叫んだと同時にビルの屋上から爆発音がした。
私は一瞬で着替え、キッドファンに成りすます。
砂袋を誤魔化せるように少しぽっちゃりした体系の成人女性に。
「すげえ！」「おいキッドが屋上にいるぞ！」
ついさっきまで地上にいた純白の泥棒は今や月を背に高い夜空にその姿を現している。
そしてテレビカメラに明晩の予告をし、またもやキザな台詞を吐いていた。
「では！」
そういって彼は屋上から足を離し空中で華麗な弧を描き夜空へと飛び立った――。
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ふ。 - ？「私はこの人を信用しているし信頼しています」でも尊敬はしていません！」 (4月14日 21時) (
レス) id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜さん» お気遣い心から感謝申し上げます！ 桜さんも健康にはくれぐれもご留意ください。 (2018年3月7日 1時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いえいえ！私の方こそ指摘したくせに間違えていたらどうしようかとヒヤヒヤしておりました(｀・ω・´ )。最近日によって気温の寒暖差が大きいのでお体にお気を付けて下さいね。 (2018年3月6日 22時) (レス) id: ee608e2089 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます。返信遅くなって申し訳ありません。おっしゃる通りです、３年近くずっと気が付きませんでした……。ご指摘ありがとうございます。修正いたします。 (2018年3月6日 22時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 突然すみません。conjurer and ciown の「ciown」がもし「ピエロ」という意味ならば「clown」ではないでしょうか？ (2018年3月4日 1時) (レス) id: ee608e2089 (このIDを非表示/違反報告)
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