【怪盗キッド】奇術師と道化師

第17話〜驚異空中歩行編〜 ページ20

居候を始めて数日経った今日この頃、新聞の朝刊に面白い広告があった。
その内容はこんなもの。

≪怪盗キッドに告ぐ！≫
≪貴様が所望するビッグジュエル『大海の奇跡』を潮留に在するわが大博物館の屋上に設置した≫
≪手中に収めたくば取りに来られたし 鈴木財閥相談役 鈴木次郎吉≫

どこの新聞もこれを大きく取り上げている。
新聞のみならず、テレビ・ラジオなどのメディア、そしてSNSやネットニュースでも朝からまるで炎上のような騒ぎを起こしている。

掲示板は『怪盗キッド』への応援・批判・アンチ・擁護が怒涛の議論を繰り広げている。
関連するニュースや、サイト、ホームページはアクセスカウントがすごいことになっている。
共有や拡散がされまくって日本だけでなく、海外までこの騒動は広がってきている最中だ。

「随分と愉快で面白そうじゃん？」

私は割とシンプルで端的な感想しか持たなかった。
まとめサイトなどを一通り回った後、私の携帯に電話がかかった。
誰からかかってきたかって？
それは勿論、授業中なはずの快斗さんからの電話だった。

　＊ ＊

寺井さんの店――ブルーパロットに着くと(私は場所が分からなかったのでナビを頼りに来た、場所ぐらい教えてくれたっていいんじゃない？ という苛立ちは心にしまっておくとしょう)どうやら快斗さんと寺井さんが何やら揉めていた。

「ですが坊ちゃま、これは罠です！」
「わぁーってるよ！」

面白くはなさそうだけど、しばし静観することにした。
二人の会話(喧嘩？)に耳を傾けつつ、私はまたさまざまなサイトや掲示板を右往左往する。
俗に言うネットサーフィン。

「とにかくやるからな！」

どうやら寺井さんが押し負けたよう。
第三者的には寺井さんのほうが正論っぽかったけど？
まあ感情論というか若気の至りというか、快斗さんのほうが強かったのかしら。
それが吉と出るか……凶と出るか。

「ジイちゃん、下調べ頼むよ」

子供のような無邪気な笑いと大人のような図々しい態度。
寺井さんもこれは無理と判断し、何やら逆に意気高揚していた。

「Aも下調べよろしく！ パソコンとかでちゃっちゃっと」
「はいはい、もうやってるよ〜」

実際は全然やってないけど、まあ今から本気出すんで、はい。

「俺はとりあえず家で色々したり、町でいいアイデアとか探してくるからよぉ、そっちは任せた」

快斗さんを見送り、私は今まで使っていたのとは違うノートパソコンとスマホを起動させた。

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