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「はぁ……。」
甲斐田たちの突発お疲れ様会から退散して自室に戻ったAは、なんとなく寝るに寝られず小説を読み耽っていた。
時折聞こえる3人の笑い声を背景に、そういえばこうして夜遅くまで小説を読むような時間の過ごし方をしたのは久々だとぼんやり考えた。
書籍と縁遠くなったわけではないが、最近目を通したのは研究の参考にするための文献や論文ばかりだった。
ほうっと息を吐いてふと時計を見ると、時計の針はとうに就寝時間を通り過ぎている。
気がついたらこんな時間か、と読み終えた小説を脇に置いた。
とうに3人の声も聞こえなくなっている。お開きにしたのだろう。
Aは喉の渇きをおぼえ、すぺすぺとした裸足で自室の扉を開けた。
「っ、、!?」
廊下に足を踏み出したところで、扉の横に何か大きな荷物がもたれかかっていることに気がつき声が出ないほど驚く。
「か、いだ先生、、?」
もたれかかっているものの正体に気付き、そっと名前を呼ぶ。
甲斐田「ん、Aさ……Aさん…腕貸して。」
甲斐田がひどく酔った様子でAの腕を引いた。Aはよろけながらも甲斐田が立ち上がるのを介助した。
「大丈夫ですか……?」
甲斐田「ん……だいじょぶだから……。」
Aの支えなしでは立っているのも困難な様子の甲斐田はぎゅうっとAの腰元を抱きしめるように引き寄せた。
Aは相当酔っている様子の甲斐田に心配から羞恥心が勝り、甲斐田の腕から逃れようともがく。
「先生……っ酔いすぎですよ!」
酔って熱くなった息をはぁと吐いた甲斐田は、ぐるぐると回る意識の中でAの抵抗などもろともせず首元に顔をうずめた。
甲斐田「……本当は長尾がAさんの料理で嬉しそうにしてるの見て嫉妬してた。」
「はい?」
くぐもって聞こえる甲斐田の声がうまく聞き取れずにAが聞き返すが、甲斐田が言葉を繰り返す気配はなかった。
甲斐田「こんなのかっこ悪いと思うけどさぁ……。」
甲斐田はそれだけ言うと、活動限界が来たようにAに体を預け切った。
「うぉっ?!」
急に電池の切れたように体重がかかってきたのを決死の思いで支え、甲斐田の足を引きずりながら自分のベッドにどうにか放り込んだAはボソッと呟いた。
「先生のことを格好悪いと思ったことなんて、一度もないですよ。」
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いちご(プロフ) - あと、寒くなってきましたので体調等にお気をつけてください🍀 (2022年12月23日 16時) (レス) id: e0cb49e002 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - まめこさん» 久しぶりに通知を確認しに来たらお返事&投稿が...!お久しぶりです☺️了解いたしました! (2022年12月23日 16時) (レス) @page13 id: e0cb49e002 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - いちごさん» いちごさん!お久しぶりです!ついったー!やろうやろうと思いつつ未開設な状況なので、開設し次第こっそりお教えしますね'v' (2022年12月10日 1時) (レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - あの、唐突にこんな事を聞くのは不躾ではありますが、Twitterなどはやっておりますでしょうか...!やっていて、嫌じゃなければTwitterの方でも繋がりたくて...!😖🤍 (2022年7月9日 11時) (レス) @page8 id: e0cb49e002 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あまぬさん» あまぬさん、コメントありがとうございます!ちょ〜っとだけ推敲を終えたのでお楽しみくだされば幸いです! (2022年7月8日 22時) (レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめこ | 作成日時:2022年5月11日 16時