移動速度 ページ42
「来ないですね……バス。この時刻表が合っているなら30分前には到着しているはずなんですが。」
Aが目を凝らして文字の消えかかった看板の文字をなぞる。
目的地が過疎地域なだけあって交通の便がよいわけがなく、半ば覚悟していたことではあったが待ちの時間は多かった。
しかし、10分やそこらの時間のズレではなく30分の到着遅れは誤差とは言えない。
朝早くに出発したにもかかわらず３時のおやつの時間を過ぎても尚目的地にはついていなかった。
甲斐田「少しだけ、周りを探索してみない？何かがおかしい気がするんだよね。」
さすがに運転手が心配になり、甲斐田が告げた。Aは頷き、先ほどから妙に濃くなってきている霧から互いを見失わないように手首に紐を結んだ。
甲斐田「Aさん見て。このあたりの木には何かの爪痕があるみたいなんだ。それに……わずかに魔の気配が残ってる。これって……。」
「輪形徘徊、ですか。」
木に括られたリボンを一瞥したAが答えた。
輪形彷徨とは、方向感覚を失った者が無意識に同じ場所を彷徨うことを指す。おそらく括られたリボンは過去に輪形彷徨に陥った者がつけたせめてもの目印だったのだろう。
甲斐田「おそらくね。方向感覚を失わせて惑わせる性質なんだと思う。痕跡から見るに悪意は感じられないけど……。」
「いわゆる”狸に化かされた”というところですね。」
甲斐田「輪形彷徨の根幹は方向感覚を失うことにあるから、まずは方向感覚を取り戻そうか。コンパスは働く？」
「どうやらダメみたいです。グルグルと回っていますから。」
Aが見せたコンパスは言葉の通りに針がグルグルと回り続けていた。
甲斐田「太陽か星が出ていればすぐに分かるのに、この霧と鬱蒼とした木じゃ見えないし……。」
甲斐田の言葉に反応せず、辺りの地面付近をじっと見渡していたAがおもむろに声を上げた。
「先生、わかりました。恐らくこちらが北です。」
Aがそう言葉にした瞬間、すうっと霧が晴れていった。
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まめこ(プロフ) - 。さん» うわああやってしまった……！ご指摘ありがとうございます！修正いたしました！ (2022年4月27日 0時) (
レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - コメント失礼致します。gnzkの藤の字が籐という字になってます。正しくは藤(ふじ)という草冠のほうです。 (2022年4月25日 0時) (レス) @page39 id: adaaffc441 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - .さん» こちらこそ、ご丁寧な返信ありがとうございます。タイトル1部変更という形で対応させて頂きました。公開状態についても検索エンジン避け済です！お気遣いありがとうございます！ (2022年3月22日 23時) (レス) id: 4d19791088 (このIDを非表示/違反報告)
. - 素敵な作品なので更新楽しみにしております。ご無理なさらず頑張ってください！ (2022年3月22日 20時) (レス) id: 0d760e457b (このIDを非表示/違反報告)
. - 迅速な対応誠に感謝します。ですが『.』では検索避けできていない可能性があるため、伏字(kid等)を使う方が良いです。公開状態も検索エンジン避けにするにをおすすめします。(既にされていたらすみません) (2022年3月22日 20時) (レス) id: 0d760e457b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ | 作成日時：2022年3月6日 5時
