第4幕 4章 （名前）視点 ページ22
ギシッ！！
「エスメラルダ式血凍道 絶対零度の小針(アグハデルセロアブソルート)」
一瞬にして、私とスティーブンに生体銃を向けていた者が凍りつく。
「血管に氷の針を通されているようだろう？君達が悪いんだぞ。全てを茶番にして引き返すチャンスは存分に与えた。」
『(うわーエグイ技。)』
「…いつから気付いていたの？この、「冷血男」…！」
「いや、さっきまで騙されてたよ。」
スティーブンのその言葉にみなは驚く。
「本当だ。君達は上手くやっていたのさ。だが、最後にしくじった。」
そこからは、何人かの生体銃による変化を、一つ一つ指摘していくだけだった。
「…という事で残念ながら、闇に連れていかれるのは、君達の方となる。」
いつの間にやら、部屋の廊下には黒ずくめで、体格のおかしなのが何人かいた。
「誰、これがライブラ…！？」
『成程ね〜』
「とんでもない。これから君達に起こるような事を我がリーダーは絶対に許さない。あくまでも、僕個人の命で極秘裏に動く私設部隊だ。」
黒ずくめの手が、彼女たちに伸びる。私とスティーブンはそれを最後まで見ることなく、部屋を出る。廊下の途中には、片目を隠しやはり首まで真っ黒の服を着ていた。
「済まないね、面倒をかける。」
「なんの、そのための我らです。」
チラリと私の方を見るが、私の事を少なからず知っているようで、何も言わなかった。
『(スティーブンが私の事を話したのかしら？まあ、私は自分の素性を無理には隠していないからいいけど。)』
「ちょっと、外の空気を吸ってくるよ。」
「了解しました。戻られる頃には撤収しておきます。」
バタンッ私もスティーブンに続いて外に出た。
――ゴオオォォォ スティーブンのマンションから少しした所の柵に、私と彼は体を預けていた。
きっと、スティーブンは彼女達との出会いをふりかえっているのだろう。
「そうか、俺、はしゃぎ過ぎていたんだ。」
『スティーブン…。』
「悪いね、A。君を巻き込んでしまって。」
『別に、たいした事じゃないわよ。それに、』
ぺチンッ私はスティーブンの額にでこピンをした。彼は驚いたように私を見つめる。
『あなたには、そんな言葉は似あわないわよ。いつもみたく、胡散臭い顔が似合っているわ。』
「そうか…。」
私には、それ以上スティーブンに返す適切な言葉を持ち合わせてはいなかった
『私はこれで失礼するわ。』
「A…、ありがとう。」
バイクで帰ろうとする私の背中に、彼のそんな言葉がかかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スザク | 作成日時：2015年7月29日 10時
