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「よっしゃ!!俺様が一位だぜ!!ケセセッ!!」
「いーや、それじゃ甘いわな。」
「あー!スペインの野郎、抜かしやがって!!」
「お前らうるせぇ!!集中できねぇよバカァ!!」
「イギリスも充分うるさいけどね〜」
「なっ…そういうお前も黙ってろ!!」
「おじさん達、喧嘩するなら外に行ってくれないかい?」
「誰がおじさんだバカ!!」
「ふふっ。微笑ましいですね…」
「そうですね…」
彼らがやってるのは、王道のカートレースゲーム。さっきのセリフを聞けば、誰がどんな状況なのか、大まかには把握できるのではないだろうか…
「そうだ。みなさん、喉渇きません?お茶、入れてきますよ?」
ちょうど1レースが終わったところで、Aがスクッと立ち上がり、みんなにそう言う。
「すみません、ありがたいです。」
日本が代表でお礼を言う。他の国々もそれぞれ頷いたり、なんだり…
Aは微笑み、頷いて、キッチンの方へ向かう。もちろん、アメリカに許可をとってからだ。
「……?カナダさん?」
そう、オープンキッチンなのでダイニングルームが見えるのだが、そこには何故か、シロクマとパンケーキを食べているカナダの姿が…
アメリカは一切カナダのことは口にしていなかったので、Aは彼が来ていることを知らなかったのだ。
「やぁ、Aちゃん。君も一緒にパンケーキ、どうだい?」
「え、あ…みなさんと遊ばないのですか?」
とにかくAが気になっていること。何故彼は一緒に遊ばないのだろうか…
Aがそう聞くと、彼は寂しそうな笑顔を浮かべながら言った。
「僕は、みんなに気付かれないんだ。ほら、こんな風に、影が薄いからね…。わかりきったことだし、仕方ないんだ。…。」
確かに、今まで彼と話していたときも、彼はまんなと距離を置いた場所にいた。
「……。仕方ないとか、諦めちゃダメだと思います。」
Aの呟きに、カナダは「えっ…」と顔を上げる。
「ロボットの僕にはよくわかりませんが…なんとなく、そんな感じがします。」
「そうかな…」
「じゃあ、ちょっと、日本さんに聞いた話をしますね。」
それは、Aが自分の存在価値について悩んでいた頃の話…
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新月の団子(プロフ) - とても面白いです!続きのお話待っています!(о´∀`о) (2018年3月29日 20時) (レス) id: 3d5a1dcf59 (このIDを非表示/違反報告)
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